母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記
松浦 晋也
2017年8月4日
日経BP
1,430円(税込)
小説・エッセイ / 人文・思想・社会
こんな介護ノンフィクション、今までなかった!!「がんばる」だけではどうにもならないー。仕事との両立、ストレス、お金。男一匹、ガチンコで認知症の母を看る。あなたに「ごめん」と言わせないために科学ジャーナリストの実体験に基づく介護対策が満載。
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(無題)
著者は50歳代の独身男性。要介護1のアルツハイマー型認知症の母親(83歳)を介護する。私は70歳代の独身男性。要支援2の脳血管性認知症の母親(90歳)を介護する。だから、本書の内容は身につまされるところが多い。私の母親は人格崩壊や攻撃性の面で、この本の母親ほど症状が酷くないので、救われる。今のところ、介護保険のサービスを使わないで済んでいるので、恵まれているのかもしれない。その辺、本書に記述された介護保険の使い方は参考になった。年々歳々人は老いる。それとともに運動機能や認知機能の衰えがやってくるのは確実だ。これから先、私の母親が何年生きるかは分からない。しかし、介護に費やすエネルギーが増していくのは間違いない。 動物の中で介護行動をするのはヒトだけである。食物を獲る能力や子孫を残す能力が失われると、動物は他の動物に捕食されたり自ら死に場所を求めるのが自然界のルールである。生きる上で必須である食物の摂取と排泄が他者の手を借りなければできない状態になっても生き続けなけばならないヒトとは、なんとも哀れな生き物である。そのような状態では、精神活動の衰えを伴うのが普通だから人間の尊厳など一欠片も無くなってしまう。そう考えれば西部邁のような選択肢もあって良いような気がする。しかし、今の日本の法律下では許されないのだから、なんとも悩ましい。 いずれにしても、私はこれから母の介護に専念し、その後は自らの老いに対峙せねばならない。できれば、もう楽をしたいが、死ぬまでは生き続ける事を強いられるのがヒトの定めである。
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