神山プロジェクト

未来の働き方を実験する

篠原匡

2014年3月31日

日経BP

1,650円(税込)

人文・思想・社会 / 科学・技術

徳島県神山町。山深いこの町に、若きクリエイターや起業家が集う。なぜ徳島の片田舎に若者たちが吸い寄せられるのか。新しい働き方、クリエイティブを生む場づくり、地域再生の方法論、不確実を楽しむ生き方ー。現代の日本人が抱える課題の答えがここにある。

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Readeeユーザー

(無題)

starstarstar 3.0 2020年09月09日

若者の田舎移住願望は世代間で一番高い。しかしながら、田舎定住率は世代間で一番低い。その要因は「田舎に仕事がないから」。神山町はそんな若者たちが田舎で仕事をしている。なぜ?その答えが本書にある。 【テーマ】 四国の田舎、神山町になぜか若者・起業家が集まる。その要因と背景を明らかにする 【構成】 Iターン者をインタビュー形式で紹介し、それぞれの移住背景と活動内容を報告。総論ではそれぞれの事例の共通点を洗い出し、筆者なりの要因考察を行っている 【本書の特徴】 こういった本は「リタイア世代の気楽な田舎暮らし」という着地点に落ち着く場合が多い。しかし本書はリタイア世代ではなく若者世代、元サラリーマンの気まま暮らしではなく農村起業家による付加価値創造である点が特徴的である 結論【要約】を先に述べると、 ・神山町のIターン増加要因はNPO、村行政、地域のサポートである。 ・NPO法人グリーンバレーが移住支援・空家再生を行っており、地域のコアメンバーがNPOを取り仕切っているため、賃貸契約が結びやすい ・村行政は子供に関する手厚い保護(医療費無料等)を行い、NPOが移住者逆指名制度により妻子持ち、職人を優先的に移住支援している為、結果的にクリエイティブな人材が集積されている。 ・彼らは神山町で自分自身を見つめなおし、自らの存在意義を見出す。その結果付加価値創造が自然発生的に生まれ、村が廃れずにどんどん進化していく。 ・地域の人々は排他的ではなく、彼ら(Iターン)の挑戦に対して「やったらええんちゃう」と肯定的に彼らを応援する。 ・四国の田舎だがネット環境が整っており、移住リスクが低い。 【印象的な一文】 「僕自身が住んでみて思いますが、ここのペースは都会の人たちに間違いなくプラスになると思う。今の時代、世の中のペースが速い。だから流されちゃうんだよ、世の中のペースに。その時はちょっと立ち止まって本質を考える。そういう面で神山のペースはちょうど良い」 すごく共感した。私は一会社員として働いている。時の流れはとても速い。しかし残念ながら、夢中で速いのではない。忙しくて速いのである。仕事に忙殺されると生きる本質を失いがちになる。会社での評価が自身の人間としての評価と結びつけてしまう事がある。でもそれは本質を見失っている証拠である。 【見解】 田舎志向はここ数年トレンドとして市場を作り出している。しかしながら世代間により暮らしの営み方が異なる。リタイヤ世代は自らの趣味の場として田舎を選び、年金と退職金で暮らしを営む。一方で若者世代は生活の場として田舎を選び、自らの仕事で暮らしを営む。つまり、仕事創造が必要なのである。 この現実はどこの田舎にも当てはまる。つまり、地域に何かを与える人、自律出来る人若者でなければ田舎で暮らすことは出来ないという事である。自律できないならばリタイア世代のように老後に暮らす、または週末に暮らす(二地域居住)程度である。 手に職を持つか、仕事を創造するか。それが田舎で生きる戦略であり、過疎化する近未来の日本で生きる戦略でもある。 個人的にはグリーンバレーの組織運営をもう少し詳しく知りたかった。補助金はもちろん出ていると思うが、地域の信頼と社会の未充足ニーズをうまく組み合わせたモデルだと感じた。 私自身は農村起業は不確定な環境だが、非常にやりがいのある挑戦だと感じている。楽しそうかつチャレンジングな生き方をしたい。

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