近代日本の仏教思想と〈信仰〉

呉 佩遥

2025年4月11日

法藏館

3,300円(税込)

人文・思想・社会

「信仰」という概念はどのように誕生したのか? 「宗教」の中核的要素として自明的に語られ、超歴史的なものとして捉えられがちな「信仰」。 しかし、そうした理解や観念自体こそが、歴史的に構築されたものであったーー。 伝統的な仏教思想や「宗教」「文明」「科学」「迷信」「儀礼」「人格」などをめぐる言説、そしてキリスト教や「旧仏教」「支那仏教」といった他者との交渉・相克を経ながら「信仰」概念が展開・定着してゆく過程を、仏教者による「語り」から追跡し、明らかにする。 論客ひしめく「宗教」概念研究の流れのなかで見過ごされてきた「信仰」概念の近代的形成に初めて本格的に焦点を当て、日本宗教史に新知見をもたらした画期的成果。 ■目次■ 序 章 第一章 「文明」の時代における「信」の位相─島地黙雷の宗教論を中心として─ 第二章 「仏教改良」と「信仰」─明治中期における仏教知識人の言説空間を中心に─ 第三章 「迷信」と「信仰」のはざま─境野黄洋における「詩的仏教」の構想─ 第四章 「新仏教」とユニテリアン──広井辰太郎の信仰論を中心として─ 第五章 「新仏教」の夜明け─雑誌『新仏教』における「信仰」言説─ 第六章 「信仰」と「儀礼」の交錯─明治後期の姉崎正治と宗教学の成立に見る─ 第七章 明治後期・大正期の「人格」と「信仰」─仏陀と阿弥陀仏をめぐる議論について─ 第八章 日本仏教論における「信仰」─「他者」としての中国仏教と日本仏教の自己認識─ 終 章 あとがき/索  引

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