砂漠のノマド

カースト社会の周縁を生きるジョーギーの民族誌

中野 歩美

2020年3月10日

法藏館

8,800円(税込)

人文・思想・社会

本書は、近年の経済発展に伴う社会変動が著しい現代インドにおいて、さらなる社会の周縁化に直面する物乞い移動民のジョーギー(ただし多くは「定住化」している)に焦点を当てた民族誌である。砂漠を移動しながら野営生活を送ってきたノマドの彼らがいかに「定住後」の世界を生き抜いているのか。そしてそれを可能にする生の拠り所としての親族ネットワークのダイナミズムはどのように生成されているのか。 インド社会に関する既存の研究は、英国植民地期に形成され、今や現地の支配イデオロギーともなって、固定的で序列的な差異を作り出す「序列化の論理」に則して理解されてきた。それに対して本書は、ジョーギーの生活実践に見出される内在的な価値世界を「均衡化の論理」として概念化することで、先行研究の限界を克服する新たなインド社会理解のための論理を提示する。 序章 第一節 問題背景と研究の目的 第二節 ジョーギーをめぐる先行研究とその限界 第三節 調査地域と方法 第四節 本書の構成 第一章 ジョーギーとは誰かー「上から」の集団表象の変遷  第一節 帝国国勢調査と「カースト」の客体化  第二節 第一期(19世紀末〜20世紀初頭)  第三節 第二期(20世紀初頭〜インド独立期)  第四節 第三期(インド独立後〜現在)  第五節 小括 第二章 「定住化」後の暮らしと移動性  第一節 ジョーギー内部の集団組織構造  第二節 ジョーギーの生活様式とその変化 第三章 生計手段の変化と〈施し〉の現在  第一節 稼ぐこと  第二節 施しを乞う  第三節 ジョーギーの「定住化」と「異人性」の現在 第四章 信仰と儀礼にみるジョーギーの集団性  第一節 ナート派信仰からみる集団的特徴  第二節 二重の周縁性とハイブリッドな信仰実践 第五章 生活基盤としての親族の紐帯  第一節 北インドにおける婚姻表象  第二節 ジョーギーの婚姻実践と姻戚関係   第三節 姻戚ネットワークと集団範疇認識  第四節 生の拠り所としての親族ネットワーク 第六章 新たな「上から」の範疇化      -「ノマド」をめぐるNGО活動とジョーギー 第一節 ジョーギーをめぐる新たな集団範疇 第二節 クリミナル・トライブからDNTへ 第三節 現地のNGО活動とジョーギー 第四節 新たな括りと戦術的な自己表象の実践 結章  初出一覧  参照文献 あとがき 用語集 索引

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