パラダイスを救え！

エリンは憂欝な気持ちでプライス・エンタープライズを訪れた。自分が経営する映画館の賃貸契約を更新するためにプライス社の社長に会いにきたのだ。更新してもらえる可能性は低い。〈パラダイス館〉は貧しい子供たちの唯一の娯楽施設なのに…。エレベーターのボタンを急いで押したとき、エリンははじめて横にだれかがいるのに気がついた。迷彩服を着たひげもじゃの人物。まるで“木”みたい。社長室の階に着いたとき、ぐずぐずしていたエリンはエレベーターのドアにスカートをはさまれてしまった。“木”はにやっと笑うとベルトにつけていたナイフでスカートを切って言った。「そのスカート、直してあげられるよ」わがもの顔で受付を通った彼は、ホチキスを手に戻ってくる。