第3版 現代の量子力学(下)
物理学叢書 113
J.J.サクライ / J.ナポリターノ / 桜井 明夫 / 常次 宏一
2023年6月19日
吉岡書店
6,050円(税込)
科学・技術
本書の上巻は量子力学の基本的な枠組みを構築したが,下巻では実際に量子力学を適用する場合に重要となるテーマを説明する.量子力学における対称性,近似法,散乱理論,多体系の量子力学,および相対論的量子力学である.これらを習得することによって,読者が実際に量子力学を使いこなせるようになることがはかられている. 対称性の議論では基本的仮定から出発する本書のスタイルが活用されており,特に理解の難しい時間反転対称性の議論が明解である.実際の問題を解く場合に必要となる近似法については,標準的に変分法と摂動論を説明する.重要な応用として,外場による準位の分裂,スピン軌道相互作用,光の吸収と放出,さらに近年重要なテーマとなったベリー位相を議論する.引き続き,実験の解析にも重要となる散乱理論を詳しく説明するが,そこでは時間に依存する摂動論を活用する.多体系の量子力学では,フォック空間と第2量子化を説明して場の量子論を準備し,具体的に電磁場の量子化を実行して,カシミール効果の実験を議論する.第3版で追加された重要な項目は,近年多くの分野で用いられている密度汎関数理論であり,その基礎と簡単な応用を説明する.最後の相対論的量子力学については,ボソンとフェルミオンについてクラインーゴルドン方程式とディラック方程式を説明し,第3版では前者の場の理論も追加した.最後に相対論的場の量子論の必要性が示される. 第3版では,読者の理解を深めるために演習問題が大幅に増やされた.さらに,分かりにくい箇所を中心に日本語訳では多くの訳注を付けて,初学者,自習者の便宜をはかった. 第4章量子力学における対称性 4.1 対称性,保存則および縮退 4.2 離散対称性,パリティすなわち空間反転 4.3 離散対称性としての格子上の平行移動 4.4 時間反転の離散対称性 問題 第5章近似法 5.1 時間に依存しない摂動論 縮退のない場合 5.2 時間に依存しない摂動論 縮退のある場合 5.3 水素様原子 微細構造とゼーマン効果 5.4 変分法 5.5 時間に依存するポテンシャル 相互作用表示 5.6 時間依存性が極端なハミルトニアン 5.7 時間に依存する摂動論 5.8 古典的放射場との相互作用への応用 5.9 エネルギーシフトと崩壊幅 問題 第6章散乱理論 6.1 時間に依存する摂動としての散乱 6.2 散乱振幅 6.3 ボルン近似 6.4 位相のずれと部分波 6.5 アイコナール近似 6.6 低エネルギー散乱と束縛状態 6.7 共鳴散乱 6.8 散乱における対称性の考察 6.9 非弾性電子ー原子散乱 問題 第7章同種粒子系 7.1 置換対称性 7.2 対称化の要請 7.3 2電子系 7.4 ヘリウム原子 7.5 多粒子状態 7.6 密度汎関数理論 7.7 量子場 7.8 電磁場の量子化 問題 第8章相対論的量子力学 8.1 相対論的量子力学への道 8.2 ディラック方程式 8.3 ディラック方程式の対称性 8.4 中心力ポテンシャルがあるときの解 8.5 相対論的場の量子論 問題 付録F 複素変数についてのノート F.1 複素数と複素関数 F.2 微分と解析性 F.3 積分と級数展開 F.4 コーシーの留数定理 文献 初版改訂版への序 訳者後書き 著者紹介 総索引
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