村上春樹　精神の病と癒し

病理は文化現象であるとの認識に基づき、村上春樹の文学を精神の病と癒しの側面から読み解く。 はしがき 第1章　夢現象、青年期の危機、欠損ーー『納屋を焼く』『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』 第2章　発病、精神科医、風景構成法ーー『中国行きのスロウ・ボート』『めくらやなぎと眠る女』 第3章　自閉、二つの世界、三つの主体ーー『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』 第4章　自己消失、アイデンティティ、旅路説ーー『象』『ピクニック』『象の消滅』『鏡』 第5章　徴候、予感、発作、病の不可逆ーー『パン屋襲撃』『パン屋再襲撃』 第6章　分裂症、森田療法、反精神医学、旅路の始まりーー『ノルウェイの森』 第7章　幻覚、有徴、無徴、ブラックホールーー『羊をめぐる冒険』『ダンス・ダンス・ダンス』 第8章　象の帰還、宗教妄想、恩寵、不在の暴力性、対象喪失ーー『ねじまき鳥クロニクル』 第9章　旅路の終焉、物語の産屋、治癒の陥穽ーー『アンダーグラウンド』『underground 2』 あとがき 人名索引