安部公房と境界

未だ/既に存在しない他者たちへ

岩本知恵

2024年3月19日

春風社

4,400円(税込)

人文・思想・社会

どれほど境界の非安定性を描出し、固定化不可能なものとして記述しても、それが言語によるものであり、しかもそれを論じるという形式をとる以上、既存の言説に対抗するための新たな境界、新たな言説は産出されてしまう。ならば、ここで有用なのは、オルタナティブな言説や境界を打ち立てることではなく、オルタナティブな言説や境界たちを記述することである。それは、集権的で支配的な規範を分散させ、様々な言説や境界や認識の可能性をパラレルに配置することになるだろう。境界の非安定性を限りなく拡張し可視化すること、産出された境界の本質化を限りなくずらし、遅延させ、別の認識の可能性を提示すること、こうした記述によって、境界を固定化する力に抗いたい。(本文より) 序章 第一章 変形する身体境界ーー「赤い繭」論 第二章 自他境界=言語化できない欠如の場所ーー「飢えた皮膚」論 第三章 未完の関係性のためにーー「人魚伝」論 第四章 非/実在の影響力ーー「幽霊はここにいる」論 第五章 〈まなざされる〉脆さと加害性ーー『他人の顔』論 第六章 〈いのち〉の境界ーー『第四間氷期』論 第七章 未だ/既に存在しない他者たちへーー『第四間氷期』論 終章 あとがき

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