オランダの文豪が見た大正の日本

ルイ・クペールス / 國森由美子

2019年10月21日

作品社

2,860円(税込)

小説・エッセイ

長崎から神戸、京都、箱根、東京、そして日光へ。 東洋文化への深い理解と、美しきもの、弱きものへの慈しみの眼差しを湛えた、ときに厳しくも温かい、五か月間の日本紀行。 写真70点収録!  春はいまだ寒い。樟はその艶のある葉を震わせている。その葉を摘み、われわれは樟脳の香を確かめる。細く美しいーー日本のーー笹は、けば立ち少し波うったような、すこぶる長いダチョウの羽のように、束になって地面に密生し、岩の上に飾り物のような姿を見せている。藤ーーオランダ語で「青い雨」--は、いまだ黙したままだ。一世紀の間、身をよじらせてきた幹は、さらに螺旋を描いて伸び、その枝を蔓棚や東屋の棚に蛇のように絡ませ、最初の一葉、またそれが花房となるのを待ちながら裸身を晒している。そして、身を切るような風の中、今年初めての桃の花は、紫色に、身震いする小枝の間で、まき散らされ吹き飛ばされるかのごとく、幽く寒さに震えている。(…)それから、たいてい傍らに庭石を飾りに添えた盆栽のある庭がある。そしてわれわれにお辞儀をする女性たちは艶やかな髪を結い上げ、干し物をしている。(本書より) 序章 中国 第一章 長崎  第二章 長崎から神戸、京都へ  第三章 日本史入門  第四章 御所  第五章 桜の季節  第六章 黄金のパビリオン  第七章 木々  第八章 城  第九章 寺院  第十章 入院  第十一章 民間信仰  第十二章 病床  第十三章 スポーツ  第十四章 横浜へ  第十五章 箱根  第十六章 雨の憂鬱  第十七章 東洋美術  第十八章 『不如帰』  第十九章 詩心  第二十章 東京  第二十一章 泉岳寺  第二十二章 日光へ  第二十三章 自然の美  第二十四章 東照宮と地蔵  第二十五章 慈悲の糸  第二十六章 能舞台  第二十七章 文字  第二十八章 不夜城  第二十九章 錦絵  第三十章 帰郷  訳者あとがき

本棚に登録&レビュー

みんなの評価(0

--

読みたい

3

未読

1

読書中

0

既読

1

未指定

5

書店員レビュー(0)
書店員レビュー一覧

みんなのレビュー

レビューはありません

Google Play で手に入れよう
Google Play で手に入れよう
キーワードは1文字以上で検索してください