シェリング自然哲学とは何か

グラント『シェリング以後の自然哲学』によせて

松山壽一

2024年8月23日

知泉書館

3,520円(税込)

人文・思想・社会

「自然哲学」にはプラトン・アリストテレスに端を発し,ニュートン,カント,シェリング,ヘーゲルを経てドゥルーズへと連なる系譜がある。ことにシェリング自然哲学に対する関心の低い状況が続いていた。しかし,イアン・ハミルトン・グラントによる刺激的で挑発的な『シェリング以後の自然哲学』(2006)の刊行を機に,シェリング自然哲学への関心が高まっている。 本書前半(第1–3章)では,まず,シェリングの最初期の『ティマイオス注解』による思想形成から,『自然哲学諸考案』,『世界霊』に至る1794–98年の諸著作を概観し,プラトン研究とライプニッツ思想の接続についてと,カントの自然哲学との対決を通して形成されるシェリング自然哲学を考察する。次にシェリング自然哲学にとって根本的な「力動」概念を歴史に即して探求する。さらに「自然学とは何か」を提示し,自然哲学と近代科学・現代科学とを対比・検討することにより,そのアクチュアリティー論を展開する。 本書後半(第4,5章)では,「シェリング自然哲学を再構成すること」を主張するグラント説の内容を解説し,さらに彼によるシェリング解釈の問題点を詳細に検討する。 本書はシェリング自然哲学と近代科学研究に長年携わってきた著者による提言の書である。 まえがき 第一章 シェリング自然哲学の成立  一 対立者の合一  二 予定調和  三 自己意識の歴史 第二章 根源力と力動ーーカント動力学批判によるシェリング力動概念の形成  一 シェリングのカント動力学批判  二 第三の力としての重力  三 シェリングのルサージュ自然学批判  四 シェリング自然哲学における力動論 第三章 自然哲学のアクテュアリティー  一 科学哲学と自然哲学ーー科学の基礎概念の分析  二 近代科学と自然哲学(その一)--自然と精神の分裂と統一  三 近代科学と自然哲学(その二)--実証と思弁をめぐって  四 現代科学と自然哲学ーー混沌からの秩序 第四章 シェリング以後の自然哲学  序論  一 万有の自然学と万物の自然学  二 精神の自然史  三 超越論的地質学 第五章 グラントのシェリング自然哲学解釈の問題点  一 「精神の自然史」はシェリング自然哲学の再構成たりうるか?  二 「超越論的地質学」は『自由論』に見出せるか?  三 ドゥルーズはカント主義に陥っているか? あとがき 文献一覧 人名索引

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