
明日を拓く現代史
谷口智彦
2013年4月30日
ウェッジ
1,540円(税込)
人文・思想・社会
アメリカがつくった世界システムとは何か?挑戦者・中国と、その中国を執拗なまでに警戒するインドの先行きは?日本は、もっといい国、強い経済を持つ国に変わっていけるのか?これからの時代を担うあなたが、絶対に知っておくべき現代史。慶應義塾大学大学院の人気講義、待望の単行本化。
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(無題)
私はつい先頃までTTP反対論者であった。それは米経済界に我が国がいいように蹂躙され国益を削ぐ事が火をみるより明らかであったからである。ところが最近は、アメリカの傘下にはいりながら、根気よく交渉を重ねて我が国の国益を守っていくべきだと考えるように変わった。宗旨替えの1番の理由は、安全保障である。TTPを単なる経済問題ではなく、軍事・外交をふまえて考えるならば、究極のところはアメリカと組むか中国と組むかの選択となり、結果は明らかだろう。いまここで何故にTTPが出てくるのか、みなさんは理解に苦しむだろうが、本書を読んで責任ある行動と複眼的視点がいかに大事であるかを痛感したからである。 慶応大大学院での講義をまとめた本書は、未来を担う若い世代がこれからを見極める際に必要となる近い過去に焦点を当てた「当用歴史書」である。戦後我が国は奇跡の復興を遂げた。その原因を軽武装経済優先路線と、あたかも神風のごとく吹いた朝鮮動乱の特需に求めてきた。私たちは、これをもっぱら我が国民の優秀さ、勤勉さ、さらに運に恵まれた結果だと思い込んできた。しかしながら、ひとたび視線をアメリカからのものに移すと、戦後日本の奇跡の復興は全く違ったものに映る。 少しでも経済を齧った人であればジョン・メイナード・ケインズの名を知らない人はいないだろう。それではハリー・デクスター・ホワイトは。第二次世界大戦は一般に、米自由主義陣営とその連合国が日独伊枢軸の国家主義的ないしファシスト政権を倒した戦いとして記憶されるけれども、米国為政者にはもう一つ、大英帝国の権益を剥奪し、自らの優位と有利を決定付ける新システムを構築しようとする目的があった。こうして戦後世界経済の安定と成長を促すためにできたのがブレトンウッズ体制である。その骨組みとなる柱を立てたのはたった二国、米国と英国であった。制度の素案を作るにあたっては理論と実務の両方に通じていなくてはならない。国際通貨・金融制度のスペシャリストとして英国代表がケインズで米国代表がホワイトであった。そのブレトン・ウッズ体制に終止符を打ったのがニクソンショックである。ドルの金兌換の廃止と為替の変動相場制への移行は、我が国にとってはまさに「晴天の 霹靂の出来事」であり他の国々も自国に不利となるこのようなアメリカの一方的宣言をいい諾々と受けいれたのは何故なのか、私は長い間疑問に思ってきたが、本書に遭遇する事によってその疑問は霧散した。それは、世界をどうするのか、どうすれば安定させておくことができるかの大人の判断であった。日本や西ドイツの経常収支の黒字は、アメリカ国債を保有する事でドルの信認を担わされたのである。今、世界一の債権国は中国である。あからさまに言えば米国は中国との軍事的対立を抑止するため太平洋における軍事的プレゼンスを死守強化しようとしている。と言うことは中国から米国へ回るカネが太平洋海軍の維持管理コストに回っている事になる。中国はこの状況に満足するであろうか。 著者が今年2月に民間から内閣官房審議官として首相官邸入りし、安倍晋三内閣の国際広報戦略を担う事になった。日本がはじめて国際的に通用するスピーチライターを得たのである。
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