療法としての歴史〈知〉

いまを診る

叢書・〈知〉の森 11

方法論懇話会 / 北條勝貴 / 岡本雅享 / 是澤櫻子 / 加藤圭木 / 佐藤壮広

2020年12月24日

森話社

2,750円(税込)

人文・思想・社会

今と未来を生きるための処方箋《プリスクリプション》 経済の低迷とたび重なる自然災害、さらにパンデミックにもみまわれた日本では、保守化・中央集権化がいっそう進み、それに歩調を合わせるような内向きの日本礼讃と排外志向の文化・メディア状況が目立っている。蔓延する現代日本のさまざまな〈症例〉に対して、歴史的な知見をふまえて歴史学・社会学・民族学・宗教学・思想などの人文諸学が解決策を提示するアクチュアルな試み。 はじめに 生存のツールとしての歴史〈知〉へ 本書のねらい (北條勝貴) I 政治の病 症例01  国民国家は〈進歩の到達点〉か 国家の前提化を放棄する想像力(北條勝貴) 症例02  〈日本民族〉は存在するのか 近代日本における民族の創出と認識の混乱(岡本雅享) 症例03  アイヌは〈自然と共生する〉民族か 現代のアイヌ民族表象の背景と歴史実践(是澤櫻子) 症例04  日本人は〈アジア諸国から不当に攻撃〉されているのか 〈反日〉という妄想(加藤圭木) 症例05  〈戦後は終わった〉と考えてよいのか 死者と生者をつなぐ事業 沖縄の戦死者遺骨が喚起する社会デザイン(佐藤壮広) II 社会・経済の病 症例06 現代日本は〈裕福〉なのか〈貧困〉なのか 「ミドル」から「マイルド」へ(川端浩平) 症例07 日本は〈定住社会〉か 「移動」から見る「日本」社会 人は生きるために移動する(工藤健一) 症例08 〈前近代は性的に寛容〉は本当なのか クィアな死者に会いに行く 前近代のジェンダー/セクシュアリティを問うための作法(杉浦 鈴) 症例09 〈日本人は勤勉〉なのか 創られ変移した「勤勉」(須田 努) 症例10 〈戦死者を国家が祀る〉のは当たり前なのか 国家が専有する慰霊(西村 明) III 文化の病 症例11 日本人に〈日本史〉は必要か 誰一人取り残さない歴史を求めて(内田 力) 症例12 神道は〈日本固有の伝統宗教〉か 神道をめぐる〈幻想〉の正体(門屋 温) 症例13 神話は〈日本精神の淵源〉か 生成し続ける神話(アンダソヴァ・マラル) 症例14 列島文化は自然と〈共生的〉か ディストピアの時代の愉楽 (黒田 智) 症例15 アニメーションは〈日本のお家芸〉か  創られた自意識 アニメーションと日本文化(師 茂樹) おわりに  本書読解のひとつの道しるべ (水口幹記) コラム1 家という名の暴力 女性差別否定論に抗する(杉浦 鈴) コラム2 列島社会は〈無宗教〉か(土居 浩) コラム3 災害列島で文化財を残すということ 東日本大震災と埋蔵文化財事業(池田敏宏)

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