刑事司法における薬物処遇の社会学

「犯罪者/アディクト」と薬物の統治

ドーン・ムーア / 平井秀幸

2015年12月8日

現代人文社

3,960円(税込)

人文・思想・社会

近年、欧米では、薬物使用は「犯罪」として罰せられるだけでなく、「依存」や「アディクション」といった「病気」としての治療の必要性が指摘されている。カナダの薬物処遇でも同様な考え方に立っている。著者は、カナダのドラッグ・コートや矯正施設で行なわれている薬物処遇に関する徹底した社会調査に基づいて、新たな薬物事件弁護や矯正保護処遇のあり方など薬物処遇をトータルに理解する視座を提供している。本書は、フーコーの「統治性」論やラトゥールの「アクター・ネットワーク・セオリー」などの理論を、実証的研究へ応用したことで、犯罪社会学だけでなく社会学全体へあらたな境地を開いた。 日本語版への序文 第1章 序論  1. 犯罪者/アディクトと、薬物と犯罪との連関──批判的犯罪学に向けたひとつの試み  2. Foucaultと統治性  3. Goffmanの相互行為分析  4. アクター・ネットワーク・セオリー  5. 複合的な方法論と統治の実践分析  6. 方法と資料  7. 各章の要約 第2章 トリートメントの心性──犯罪者/アディクトと変容のプロジェクト  1. 変容のプロジェクト  2. リアリティ・チェック5  3. 医療モデルと刑罰福祉主義(Penal Welfarism)  4. 暗い時代──1980年代  5. 1990年代──回帰する変容のプロジェクト  6. CBTと治療の政治学  7. アディクトにターゲット化すること  8. 現代のコンテクスト  9. より広範なコンテクスト  10. 結論 第3章 薬物のパーソナリティ  1. 薬物のパーソナリティ  2. リスクと薬物のパーソナリティ  3. 個別薬物のパーソナリティ  4. 結論 第4章 司法とセラピーの翻訳──DTCのネットワーク  1. ディシプリン化されない知識  2. セラピー的法学(therapeutic jurisprudence)とDTC  3. カナダにおけるDTC  4. 実践における知識交換  5. チーム  6. 諸アクターを翻訳する  7. 汚染される法  8. 手続的公正  9. ケアの倫理  10. 結論 第5章 アディクトによる自己への配慮  1. 統治可能な諸主体を創り出す  2. 自己への配慮  3. 抵抗  4. 統治の心理学──抵抗への備え  5. 結論 第6章 結論 【訳者解題】 本書の独創性と普遍性──1人の批判的犯罪学者のライフヒストリーを手がかりに  1. 本書の概要  2. カナダにおける批判的犯罪学──ムーアの略歴と本書の学問的土壌  3. 本書の“面白がり”方について  4. ムーアによる「批判」と、それに対する「批判」的検討  5. 終わりに

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