文化国家と「文化的生存配慮」

ドイツにおける文化政策の理論的基盤とミュージアムの役割

秋野 有紀

2019年2月28日

美学出版

3,869円(税込)

小説・エッセイ / ビジネス・経済・就職

芸術文化の領域にも押し寄せる市場自由化の波。 ドイツの国民国家成立期から現代までを視野に、法、概念、理論をめぐる議論をひもとき、「文化的生存配慮」の理論的基盤をとらえ、 今日の公的文化政策の中核とミュージアム像を考察する。 [主要目次] 序 章 公共文化施設の必要性と存在理由をめぐる今日の議論  一 国際的な研究の文脈における二つの潮流とその背景  二 ドイツにおける文化政策理論化の出発点 ──公的文化政策が自明ではない国  三 鍵概念としての「文化的生存配慮」  四 本書の構成と史資料 第一部 ドイツにおける文化政策の野心と苦悩 第一章 ドイツ連邦共和国基本法改正案に見る「文化国家」と「生存配慮」  一 第二〇b条新設という勧告  二 文化諮問委員会設置の背景と目的  三 勧告の主旨 ──公的文化政策の明文化  四 「文化的生存配慮」の意図 第二章 ドイツにおける文化政策の起源  一 現在の議論の位置  二 一九世紀の文化国家論  三 ステイトの語源 ──集権性への志向  四 国民国家運動と文化国家論  五 ヴァイマル憲法 ──芸術振興についての議論と意図  六 ドイツ国の文化政策構想  七 フォルストホフの「生存配慮」理論 第三章 「文化国家」と「生存配慮」──戦後の理論的克服  一 克服の前提  二 現代の「生存配慮」の限定的性格 ──要請される「中核」の定義  三 欧州の一般利益サービス論  四 今日の「文化的生存配慮」の性質 第二部 民主社会の基盤としての自治体文化政策とミュージアム 第四章 「万人のための文化」の登場 ──芸術振興から住民のための文化政策へ  一 基礎的自治体による「文化国家」の解体 ──「新しい文化政策」の登場  二 万人のための文化 ──二つの意図  三  文化局の外での意見の集約 第五章 ドイツにおける「ミュージアムの危機」  一 「新しい文化政策」の聖地でミュージアム?  二 西ドイツの「ミュージアムの危機」 第六章 「万人のための文化」を可視化するミュージアムの河畔の成立とその意図  一 ミュージアム論争 ──討議への意欲  二 ミュージアム発展計画 ──媒介への期待  三 第一市長の期待 ──都市の表象への野心  四 ミュージアム集積地帯  五 政策根拠  六 拮抗する三つの期待 ──ミュージアムの河畔の成立 第七章 ミュージアム政策の課題と未来 ──公的助成と市場自由化の二極化の克服  一 「お楽しみ社会」の登場  二 ミュージアムと媒介  三 討議的ミュージアム ──実践編  四 政策上の課題  五 プロジェクト支援 ──展示と媒介を支える基金  六 循環する資金 終 章   一 文化的生存配慮  二 文化を媒介項とした対話の理念  三 自律性の高い文化と対話的な人格形成の理念  四 ドイツの文化政策 ──民主社会を支える生命線の一つとして

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