
先輩の背中 私の背中 -後輩への伝言ー
栢原 英郎
2024年4月17日
ウェイツ
1,500円(税込)
人文・思想・社会
「国家国民に役立ちたいなどといった高邁な志があったからではない」としながらも、北海道大学を卒業後、国家公務員となった著者。当時、時代は高度経済成長時代の真っただ中で、「ジャパン アズ ナンバーワン」「GDP世界第二位」などと言われ、元気な日本そのものだった。そうした社会状況の中で著者は、波のようにもまれていく。なかでも、開発の神様と呼ばれた下河辺淳氏のもとで全国総合開発計画、いわゆる全総に取り組んだことは著者にとっても最大の体験となり、さらに三全総、四全総にかかわっていった。 その後もさまざまな曲折を経て国土交通省港湾局長に就任するが、なかでも1995年の阪神淡路大震災では神戸の復興のために神戸港の再生に力を入れ、驚くべきスピードで復旧させるとともに、災害時における港湾インフラの重要性を内外に知らしめるに至った。 そのほかにも、著者の港湾関係における業績は多々あるが、本書ではそうした体験を踏まえて、「先輩の背中」を振り返るとともに、「私の背中」として後に続く後輩に対しても体験を伝えていく。このように2段階の構成によって、過去と未来をかたちづくる流れとなっている。登場する人物は、下河辺淳氏、岡本行夫氏、亀井静香氏、平松守彦氏、橋本大二郎氏など、個性豊かで、かつ実力を備えた方たちである。後半の「私の背中」では、著者が伝えたい組織の中での行動原則や、仕事に処する心構えやリーダー論など、今後の日本人が忘れてはいけない指針が示されている。 果たして、本書は「国家国民に役立つ」のだろうか。「そうした高邁な志は持たず」、と言う著者の笑顔は歳を経た今でもさわやかである。
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