
非暴力非まじめ(vol.1)
包んで問わぬあたたかさ
櫻井 淳司
2022年5月25日
ウネリウネラ
1,210円(税込)
人文・思想・社会
女子学院創設の祖・櫻井ちかの曾孫で、どの教会にも属さないフリー牧師の著者・櫻井淳司が、生涯「非暴力」にこだわり続けるのは何故かーー。彼が歩んできた80年余の人生の道のりとともにその理由を説く。 著者は1978年、福島県石川町で小学校の廃校舎を借り、「ただの人」をめざす全寮制私塾(無学校)「インターナショナルニューライフカレッジ」を創設した。 この全寮制私塾は、公的機関からの補助金など一切ない、完全に独立、自由な存在としてはじまった。「学歴信仰」「学校信仰」が支配する時代の中で、あえて、その支配からの自由を求めることをめざしたのだった。だが、この学園の活動途上で直面した「暴力」の嵐こそ、著者が「非暴力」にこだわる最大の要因となっていった。 (以下本文より) 私は自分のことを決して暴力的な人間だと思っていなかった。ところが(中略)教育事業の経営者、塾長という立場になった時、無自覚的に管理者として、支配者としての精神的暴力をふるっていたことに気づかされるに至った。 ある教育雑誌の記者が取材にきた時、塾生に「塾長ってどんな人?」とインタビューした。塾生たちの回答は「独裁者」「デスラー」「ワンマン」などだった。自分が相当な暴君になっていたことを率直に知らされ、たじろいだ。 自分の創設した塾の価値を高めるために、教育の成果として立派な人間を輩出することを目指していたのである。そのために看板の肩書に「人間形成私塾」とつけたりしていた。それは、陶器師が泥をこねて自在に器を形成するごとくに、人間を形成できるとの思い上がりであった。
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