〔電子〕細雪 全
谷崎潤一郎
2017年10月6日
古典教養文庫
500円(税込)
小説・エッセイ
*第4版について 2019/10/1 読者の方のご指摘により幾つかの誤植を訂正いたしました。この場を借りて御礼申しあげます。 *第3版について 2019/01/22 読者の方のご指摘により幾つかの誤植を訂正いたしました。この場を借りて御礼申しあげます。 *第2版について 読者の方のご指摘により、いくつかの誤植を訂正しました。2018.10.4 (この本について) この本には、谷崎潤一郎の代表作である長編「細雪」の上中下全巻を収めてあります。 上巻は、青空文庫に収録されているものを、手元にある新潮文庫版(昭和三十年十月十日初版、五十七年三月十日第四十五刷)の「細雪」上巻と照らし合わせて、誤植を訂正し、行頭に一字分のスペースを入れる(会話を表す「 の場合は、そのまま)など、様々な修正を施しました。いくつかの漢字表現(「兎に角」など)を、新潮文庫版にならって、ひらがなに直しました。ルビの小文字(「っ」など)は見栄えを重視して普通文字(「つ」)に直しました。特に電子書籍デバイスやスマートフォンで読みやすいように、各項は、必ずページの先頭に来るように改ページを入れました。 また中巻、下巻の本文については編集者が独自に入力しました。 注については、編集者がいくつか割り注の形でいれ、何枚かの参考写真を挿入しました。 底本については以下のようになっています。 上巻(青空文庫より転載の上、編集) 底本:「細雪(上)」新潮文庫、新潮社 1955(昭和30)年10月30日発行 2011(平成23)年3月20日112刷改版 2013(平成25)年6月25日114刷 底本の親本:「谷崎潤一郎全集 第十五巻」中央公論社 1968(昭和43)年1月 中巻 新潮文庫版「細雪」中巻 昭和三十年十月十日初版 昭和五十七年三月十日第四十五刷 下巻 新潮文庫版「細雪」下巻 昭和三十年十月十日初版、 昭和五十七年三月五日第四十六刷 (谷崎潤一郎について) 谷崎潤一郎は、一八八六年(明治十九年)、谷崎倉五郎、関の長男として東京府東京市日本橋区に生まれました。弟の谷崎精二もまた文学的才能に恵まれ、後に作家、英文学者(早稲田大学で教員)となっています。 府立一中に入学しますが、散文や漢詩をよくし、一年のときに書いた『厭世主義を評す』は周囲を驚かせ「神童」と言われるほどでした。 一九〇八年(明治四十一年)、一高卒業後、東京帝国大学文科大学国文科に進みますが、学費未納により中退します。在学中に和辻哲郎らと第二次『新思潮』を創刊し、処女作の戯曲『誕生』や小説『刺青』(一九〇九年)を発表し、早くから永井荷風によって『三田文学』誌上で激賞され、谷崎は文壇において新進作家としての地歩を固めていきます。 関東大震災の後、谷崎は関西に移住し、これ以降ふたたび旺盛な執筆を行い、次々と佳品を生みだしました。長編『痴人の愛』では妖婦ナオミに翻弄される男の悲喜劇を描いて大きな反響を呼びます。続けて『卍』、『蓼喰ふ虫』、『春琴抄』、『武州公秘話』などを発表し、大正以来のモダニズムと中世的な日本の伝統美を両端として文学活動を続けていきます。こうした美意識の達者としての谷崎の思想は『文章読本』と『陰影礼賛』の評論によって知られる。この間、佐藤春夫との「細君譲渡事件」や二度目の結婚・離婚を経て、一九三五年(昭和十年)に森田松子と三度目の結婚して私生活も充実します。 太平洋戦争中、谷崎は松子夫人とその妹たち四姉妹との生活を題材にした大作『細雪』に取り組み、軍部による発行差し止めに遭いつつも執筆を続け、戦後その全編を発表しました。同作の登場人物である二女「幸子」は松子夫人がモデルとなっています。 (「細雪」について) 『細雪』(ささめゆき)は、谷崎潤一郎の長編小説であり、また代表作ともなっています。一九三六年(昭和十一年)秋から一九四一年(昭和十六年)春までの大阪の旧家を舞台に、四姉妹の日常生活の悲喜こもごもを綴った作品です。阪神間モダニズム時代の阪神間の生活文化を描いた作品としても知られ、全編の会話が船場言葉で書かれています。上流の大阪人の生活を描き絢爛でありながら、それゆえに第二次世界大戦前の崩壊寸前の滅びの美を内包し挽歌的切なさをも醸しだしているといわれています。 三島由紀夫をはじめ、多くの作家たちにより文芸評論・随想等で取り上げられ高く評価されています。 また世界各国でもその翻訳が出版されており、スロベニア語・イタリア語・中国語・スペイン語・ポルトガル語・フィンランド語・ギリシャ語・フランス語・セルビア語・ロシア語・英語・韓国語・オランダ語・チェコ語・ドイツ語に翻訳されています。 『細雪』の舞台となった兵庫県武庫郡住吉村(現・神戸市東灘区)の谷崎の旧邸は、保存運動が進められました。その結果、六甲ライナー建設による移築保存が一九九〇年(平成二年)に成しとげられ、「倚松庵(いしようあん)」と名づけられています。 (古典教養文庫について) 古典教養文庫は、日本のみならず広く世界の古典を、電子書籍という形で広めようと言うプロジェクトです。以下のような特長があります。 1、古典として価値あるものだけを これまで長く残って来たもの、これから長く読み継がれていくものだけを選んで出版します。 2、読みやすいレイアウト 文章のまとまりを、適切な改ページで区切って、電子書籍デバイスはもちろん、iPhoneやAndroidなどのスマートフォン、iPadなどのタブレットでの読書に最適化しました。またMacやパソコンでも読むことができます。 索引を付けましたので、目次から直接アクセスできます。 3、美しい表紙 プロのデザイナーによる美しい表紙をつけました。書籍と関連づけられた美しい表紙で、実際の本を読むような感覚に浸れます。 4、スピーディーな改版 紙の本と違い、誤植の修正や改訂などすぐに対応でき、刻々と進化を続けます。
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