〔電子〕祝福

村山亮

2021年4月5日

村山亮

0円(税込)

小説・エッセイ

『祝福』:フリーライターの東田〈ひがしだ〉は、35歳になった。出版社で働いていた頃と比べれば、収入は大分減った。それでも自由に好きなことを書いて暮らせるというのは、素晴らしいことだった。彼はある美術館巡りの記事を書いていたのだが、突然二つ年下の妻が付いていきたいと言い出して・・・(短編小説)。 『タイムレス』:「当時俺は深刻なテレビゲーム中毒に陥っていた」と彼は言った。僕の友人の「彼」は、大学時代親の金を使って好きに生きていたのだが、卒業後突然悪性のテレビゲーム中毒に陥ってしまった。僕らは今26歳になっていたのだが、お互いに人生の方向性をいまだに掴めずにいた。彼は僕の部屋で淡々と当時の状況を語るのだが・・・(短編小説)。 『橋』:「橋の上に一人の男がいる」。その男は22歳で、何かを決めかねている。携帯電話と部屋の鍵も投げ捨ててしまう。「もう落とすべきものは一つしか残っていない」と彼は思う。そんなところに、同い年くらいの若い女性がやって来る。彼女は彼に目を奪われてしまう。二人は似たような精神的暗闇に捉われてしまっていたのだ。やがて男が不思議な話を語り始める・・・(短編小説)。 『秋風』:「何かが間違っている、と感じ始めたのは、三十二歳になった頃のことだった」。池橋は実家に帰るために東北自動車道を北上していた。離婚後、一人で東京の街を歩き回っていたときに、ふと稲の匂いを嗅いだのだ。正確にはそれは稲の匂いの記憶のようなものだったのだが。彼は自分はここにいるべきではない、と悟った。高速道路を運転しながら、過去何年かの記憶を辿っていく・・・(短編小説)。 『雪の精、および空白、そして再生』:29歳、独身の「私」はクリスマスイブの夜、仕事に疲れ切った状態で一人マンションの部屋に帰ってくる。するといつもと様子が違っている。五十代くらいの奇妙な格好をした男が、私の部屋の中にいるのだ。彼は自分のことを「変態ではない」と言うが・・・(短編小説)。 以上五編の短編を収録。

本棚に登録&レビュー

みんなの評価(0

読みたい

0

未読

0

読書中

0

既読

0

未指定

3

書店員レビュー(0)
書店員レビュー一覧

みんなのレビュー

レビューはありません

Google Play で手に入れよう
Google Play で手に入れよう
キーワードは1文字以上で検索してください