〔電子〕いいね

『私は、いいね、のために生きているの？』 大手電機メーカーの社長を父にもち、自らも個人事業主として健康食品の販売を手掛ける２８歳の女性・麗香。裕福な暮らしをする麗香はSNS『ビューネット』におしゃれな画像を投稿し、その反響である『いいね』を数えることが毎日の楽しみ。愛車である高級外車、高級マンションでの暮らしぶり、高級レストランでの洗練された料理、おしゃれなアイテム、そして、美人でスタイルが良い麗香は自分自身の姿をも躊躇なく画像投稿した。そんな麗香のアカウントには３万を超えるフォロワーがつき、『いいね』も常に１万を超えていた。麗香の生活スタイルやその存在は多くの女性たちにとって羨望の的になっていた。 そんなある日、愛車で六本木へ向かっていた麗香は、交差点で信号待ちをしているときに、女性が乗る自転車に愛車をぶつけられて傷をつけられてしまう。腹を立てた麗香は、女性に対してある行動に出たことで予想もしなかった方向へと事態が進んでしまう……。 現代のSNSにおいて誰もが関心をもつ『いいね』。そんな『いいね』をめぐる短編物語です。 皇南輝