〔電子〕張騫　シルクロードの開拓者

武帝から西域出使の命を受け、未知なる国へと出立した張騫(ちょうけん)（？ー前114）。13年もの旅を経て帰国後、下級官僚から大中大夫への大昇進、失態から死罪宣告されるも、並ぶ者なき唯一の「西域専門家」として復権を遂げるーー！　文化･物資の東西交流の大道を築いた英雄の波瀾万丈な出使記録と、シルクロード開通の功績を丹念に考察。 NHKの名番組「シルクロード」（1981）（1985）、「大黄河」（1986）を手がけたNHKプロデューサーにして中国文学研究者が、軽やかな筆致で描写。知られざる張騫の生涯と功績から、中国視点でのシルクロードを活写する。 本書の原本は1991年9月、筑摩書房　ちくまライブラリーより刊行されました。 目次 プロローグ　天の河へ行った男　語り継がれる張騫 第一章　張騫登場の背景 匈奴の馬蹄に戦く漢王朝 耳よりな情報と武帝の経略 奇特な応募者張騫ーー出身と時代風潮 第二章　第一次張騫出使ー経過と成果 拘留十年、節を通す はじめて飲んだ葡萄酒ーーパミールを越えて 13年目の帰国と報告 第三章　第二次張騫出使ーー経過と成果 不倒翁の面目 烏孫内属 広がる波紋・張騫効果 第四章　人跡たえぬ流砂の道 葡萄・珍宝そして音楽ーー西域から漢へ 汗血馬来るーー李広利の大宛遠征 絹の威光と穿井法ーー漢から西域へ 第五章　張騫につづくものーー西域経営の功労者 烏孫の「女王」解憂公主 最初の西域都護ーー鄭吉 虎穴に入らずんば虎子を得ずーー西域に殉じた班超 エピローグ　墓前に思う 解　説　　　井上文則（早稲田大学教授）