〔電子〕合本 背信の都【文春e-Books】
ジェイムズ・エルロイ
2016年5月28日
文藝春秋
4,481円(税込)
ミステリー・サスペンス
これぞエルロイ、これぞ警察小説ーー新たなる傑作の誕生。 戦時下でもジャップ殺しの捜査を継続することで警察の公正さをアピールする。それがLA市上層部の結論だった。だが真犯人を捕らえる必要はない。都合のいい変態かジャップを捕らえて真犯人をデッチ上げろ。その意を受けて、ダドリー・スミスが動き出す。一方、LA市警本部長候補である刑事ウィリアム・パーカーは、汚職警官ダドリー・スミスに狙いを定めていた。警察官は清廉でなければならないーーアルコール依存症に苦しみながらもパーカーはヒデオ・アシダに接近、ダドリー失脚の機会をうかがう。 アシダ、ダドリー、パーカー。それぞれの正義のために共闘し、裏切り合う男たち。その思惑に巻き込まれた女ケイ・レイク。反米ジャップと共産主義者への弾圧がはじまったLAで、戦争のパニックに乗じて儲けようとする男たちが悪辣な策謀を紡ぎ出すーー 警察内部の暗闘。国家同士の戦争。愛国と反米。ヘイトの嵐の中で、男たちは真実にたどりつくことができるのか? ミステリ史上最強の警察小説、ここに降臨! ※この電子書籍は、『背信の都(上)』と『背信の都(下)』を一冊にまとめた合本版です。
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toruo
(無題)
かなり久しぶりのエルロイの邦訳。相変わらず長い! 作風も全く変わってなくて実在の人物と架空の人物が入り混じり欲望むき出しで蠢き合うさまがみっちり書き込まれている。 読んでて「あれ?」と思って見てみたら映画化されたLA三部作とか前作品に出てきた人物がかなり出てる。これまでの作品が戦後のLAを舞台にしてるのと異なり本作はちょうど開戦直前のLAが舞台。 日系人一家の惨殺事件が発生、その翌日に真珠湾攻撃、という時間設定。あくまで表向きは平等をアピールしたい上層部は事件の早期解決を指示。これを受けた処理屋の悪徳警官、彼に反発しつつも別の思惑で絡んでくる出世志向の警部、警部に利用されつつ自分の考えで動く謎の女、唯一の日系人鑑識官、の四人の目線を中心に出し抜きあったり利用しあったりという醜い世界が緻密に描かれます。 ジャップの罪はジャップにきせろ、真実はどうでもいい、とう操作方針、歩いてるだけでジャップと言われ殴られたり物を投げつけられたりする描写をはじめ日系人への攻撃やきつい描写は正直なところ日本人にはきつい部分もあり読む人を選ぶ作品かと思います。自分は面白かったけど正直読み難い部分もありました。
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