〔電子〕企業変革力

ジョン・P・コッター

2014年9月24日

日経BP社

2,200円(税込)

ビジネス・経済・就職

組織には継続的改善とは別に、リストラやM&A、ダウンサイジング、企業文化変革といった手法を用いた大規模な飛躍と変革が必要な場合があるが、そのリーダーシップのあり方を論じたのが本書である。この場合、リーダーシップはマネジメントの対比概念として位置づけられている。マネジメントとは、組織内のプロセスを計画し調整し統合することである。継続的改善に必要なのはマネジメントであるが、飛躍と変革に必要なのはマネジメントではなくリーダーシップである、と著者は言う。リーダーシップとは、組織を誕生させ、あるいは激しく変化している環境に組織を適応させる役割である。成功を収める変革は、70から90%はリーダーシップによってもたらされ、残りの10から30%がマネジメントによってもたらされる、と著者は主張している。管理者としての成功への道も今後は変わる。大組織の中でマネジメントを学びつつ昇進をはかってきたこれまでのキャリアパスは、十分なリーダーシップ能力の獲得という点では不十分だ。21世紀において成功を収めるキャリアはもっとダイナミックなものになるはずだ、と著者は主張している。会社で働いている人たちへの示唆を含む議論である。著者のジョン・コッターはハーバード・ビジネススクールの組織行動論担当教授である。ティーチングとコンサルティングの豊富な経験に基づく記述は、饒舌な語りを聞くようで読みやすい。多くの企業に入り込み、さまざまな場面に遭遇した著者の経験が生かされている。記述の全体に健全な精神が横溢し、割り切りの良い議論が展開されるので、読んでいて元気が出てくる本である。強力なリーダーが必要だ、という意見が今の日本には多い。では強力なリーダーとは具体的にどういう役割を果たす人間をいうのか。その点を、本書は豊富なビジネス事例に触れながら明らかにしている。(榊原清則)

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