〔電子〕世界でも珍しい「謝罪会見」という光景

マッド・アマノ

2013年2月1日

アドレナライズ

385円(税込)

人文・思想・社会

それは、誰のためなのか、何のためなのか  事件・事故、企業や政治家の不祥事が起きると、テレビで必ずといってよいほど目にする光景が「謝罪」の記者会見シーンだ。「謝罪会見」は日本くらいでしか行われない、実は珍しい行為なのだという。  パロディストにして、フォトモンタージュの先駆者である著者は、この「頭下げ」と題した謝罪関連の新聞記事を長年に渡り膨大に収集している。また同時に、欺瞞に満ちた企業や政治家、個人の謝罪の姿を今日もシビアに観察し続けている。  本書で取り上げた謝罪会見の数々は、近代史的に看過できない事件ばかりであり、数年も経てば忘れてしまう我々にとっては当時を思い出す良い機会となるはずである。  今日も明日も日本のどこかで繰り返される「謝罪会見」の光景。  3人ほどのトップや関係者が謝罪して事件が終わったかのような錯覚をする。そして同時に同じような事件・事故や不祥事が、改善されることなく起きてしまい、悲劇が繰り返されていることにも気が付くだろう。  そのたび「謝罪会見にだまされるな!」という気持ちが強くなってくる。  巻末に収録された、デイブ・スペクター氏との対談も必見。 1 究極のパフォーマンス ここまでやる?  史上初!土下座謝罪の不誠実……ミドリ十字  落選知事、九〇度の誠実……田中康夫長野県知事 2 巨大救済劇のカラクリ  世間を絶句させた号泣会見……山一證券  不思議な符合……りそな銀行  伏魔殿の犯罪……野村證券・第一勧業銀行 3 詫びるべきは国民に  “破綻”と“新生”の背後……日本長期信用銀行  負の遺産、一兆八〇〇〇億円の重圧……そごう 4 事実はいつもイモヅル式  ずさん極まりない管理体制……社会保険庁  乱れに乱れた釈明の航跡……防衛省 5 懲りない会社  身の保全より原発の安全を……東京電力  これはもう、DNAか?……三菱ふそうトラック・バス 6 罪の重さと自覚の軽さ  罪の中身は不問のまま……JR西日本  お詫びのしるしはわずかに給与返上一年間……グッドウィル・グループ折口雅博会長 7 昨日の敵は今日の友  髷を切るも結うも風向き次第……松浪健四郎衆議院議員  党代表の首まで飛んだ「切り札」……永田寿康衆議院議員 8 はがされたブランド  息子を促して……船場吉兆  息子に促されて……ミートホープ  黒い雪に降られた恋人……白い恋人  親が親なら、子も子……雪印乳業・雪印食品 9 そして公僕はいなくなった  警視総監まで道連れのストーカーポリス……警視庁  不祥事のデパートと化した県警……神奈川県警  雪見酒の夜の警察幹部たち……新潟県警  市長二代、ええ加減にしんしゃい!……福岡市長 10 「テレビも人の子」ではすまされない  陳謝、陳謝で相次いだ退任……NHK  ここにもカネで買えるものがある……日本テレビ  「真摯な気持ち」で「素直にお詫び」……TBS 11 白衣がついた真っ赤なウソ  手術ミスに重ねたウソの数々……東京医科大学病院  白かったのは白衣だけ?……東京慈恵会医科大学附属病院  病院が抱える病い……東京女子医科大学病院 12 親の責任、親方の責任  母親会見二態……三田佳子さん・ロザンナさん  投げられた「躾糸」……亀田史郎さん親子  あの人の言い分も聞きたい……朝青龍関  弱くて重たかった理事長の腰……北の湖理事長 13 そのバッシングにクエスチョン  逸材をつぶしかねなかった謝罪……松坂大輔投手・ダルビッシュ有投手  本人も驚いた波紋の大きさ……江角マキコさん  寄ってたかって叩かれた「無知」……倖田來未さん 14 学校の謝罪でかすむ本人責任  学長謝罪の「なぜ?」……甲南大学・岐阜市立女子短期大学  連帯責任って何?……駒沢大学苫小牧高校・専修大学北上高校 15 違和感ぬぐえぬ外国人謝罪  司令官が頭を下げた訳……在日アメリカ軍司令部  艦長の涙と米メディアの本音……アメリカ原子力潜水艦ワドル艦長  信頼の「急降下」……シンドラーエレベータ 16 不透明な、謝罪のあと先  エイズウイルスの底知れない闇……菅直人厚生大臣  王国崩壊の影に……西武鉄道グループ堤義明会長  謎に包まれた辞任と就任……ライブドア平松庚三社長 17 傷が癒されることはなく  半信半疑だった? 大臣謝罪……小池百合子環境大臣  心ここにあらざる謝罪……福田康夫総理大臣 18 謝罪とニッポン人  なぜか謝罪会見のなかった三人……浅田満氏・堀江貴文氏・守屋武昌氏  謝罪会見の舞台裏……危機管理のプロに聞く  謝罪の日米比較と謝罪の明日……デーブ・スペクター氏と語る ●マッド・アマノ 1939年、東京都生まれ。本名、天野正之。東京芸術大学美術学部卒業後、家電販売会社の宣伝部を経て、パロディストとして独立。その後、渡米。カナダ・バンクーバー市立美術館などで個展を開く。1971年、自動車公害を風刺した作品が「写真著作権」を侵害したとして提訴され、16年間係争。東京高裁で勝訴後、最高裁で高裁に差し戻され、和解で結審した。1978年、第24回文藝春秋漫画賞受賞。写真週刊誌『FOCUS』では創刊の1981年から休刊までの20年間、パロディー作品を約1000回連載。裁判と連載期間中の1978〜88年を、ロサンゼルスで家族とともに暮らした。帰国後、有限会社ビッグバン設立。

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