〔電子〕コナーズの短期売買入門

ウィザードブック

ローレンス・A・コナーズ / シーザー・アルバレス

2009年12月15日

パンローリング

3,960円(税込)

ビジネス・経済・就職

「ストップは置くな!」「オーバーナイトで儲けろ!」 短期売買の新バイブル降臨!時の変化に耐えうる短期売買手法の構築法 1990年代後半からトレーディング業界にとっては好ましい大きな変化があった。トレード手法に関する情報が激増したことと、トレード戦略を数値で示す技術が発達したことだ。今ではエクセルなどを使えば、検証作業は数分で終わってしまう。逆に好ましくない変化は、数多くあったエッジ(優位性)が消え、市場が効率化してしまったことだ。 本書では、世の中が大きく変化するなかで、昔も儲って、今も変わらず儲かっている手法を伝授する。 本書は、市場哲学や市場心理や市場戦略を交えて展開していく。さまざまな市場・銘柄を例に見ながら、アメリカだけではなく世界で通用する内容となっている。著者のトレード哲学は「平均値への回帰」である。その意味は単純に、行きすぎたものは必ず元に戻るということだ。それを数値で客観的に示していく。 市場の短期的な動きを数値化したうえで、銘柄を買うなら、3日連続で上昇したあとよりも、3日連続で下落したあとのほうが良い結果になることを示している。短期トレードの場合、高値で買ってより高値で売るブレイクアウトの戦略よりも、安値で買って高値で売る押し目買い戦略のほうが有利であることを、統計的に示していくのだ。 本書は次のように構成されている。まずは、市場特有の動きを探る。そして市場での押しや戻りを見極め、どうしてそれが儲け時なのかを見ていく。また、日足と日中足を見ながら、2期間RSI(相対力指数)だけで、下落時のトレード方法とタイミングを学ぶ。そして「ストップを置く」「オーバーナイトはリスクが高い」などのトレードでは常識と思われていたことが非常識になっていることも統計的に示していく。 その後は、戦略の話へと移っていく。本書で学ぶ戦略は、すべて10年以上の研究によって裏付けされている。それぞれの戦略のルールとその戦略の検証結果を読者の皆さんに紹介する。株式売買の戦略と指数先物のタイミング戦略も、すべて数値でその根拠を示す。日足を使った戦略を探している読者の皆さんにとって、本書は最高の手引書となるだろう。 その次に、手仕舞いについて細かく見ていく。トレードは仕掛けて終わりではない。適切に仕切れば、仕掛け時のエッジを最大限に引き出すことができる。そこで、いくつかの出口戦略とその戦略の有効性を証明する統計を見ていく。 最後に、トレードで成功するために最も重要であると言っても過言ではないのがトレード心理だ。そのトレード心理について、アメリカ海軍特殊部隊シールズの元隊員から、決断を下す方法と自分が下した決断を完璧に実行する方法を具体的に学ぶ。 読者の皆さんが、本書からトレーディングについて多くのことを学び得ることを期待している。 目次 監修者まえがき 謝辞 第1章 はじめに 第2章 「人とは違う発想を」ルールその1「押しで買い、ブレイクアウトで買ってはならない 第3章 ルールその2「急落後に買い、急上昇後に買ってはならない」 第4章 ルールその3「株は200日移動平均線の上側で買い、下側で買ってはならない」 第5章 ルールその4「VIX指数を味方に付けろ不安に思ったときこそ買い、欲が出たときこそ売れ」 第6章 ルールその5「ストップは痛い」 第7章 ルールその6「オーバーナイトが儲けるコツ」 第8章 日中での下落を買うエッジをさらに強めるために 第9章 2期間RSIはトレーダーにとって聖杯か? 第10章 ダブル7戦略 第11章 月末戦略 第12章 5つのマーケットタイミング戦略 第13章 出口戦略 第14章 心理 第15章 最後に 付録 ラリー・コナーズ提供トレード資料 無料トレード戦略短期株トレードで成功するための5つの秘訣 ■著者紹介 ○ローレンス・A・コナーズ(Laurence A. Connors) TradingMarkets.com の創設者兼CEO(最高経営責任者)。1982年、メリル・リンチからウォール街での経歴をスタートさせ、ドナルドソン・ラフキン・ジェンレットのバイスプレジデントを経て、トレーディングを開始すると同時に、情報会社を設立。著書には『魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門』(パンローリング)などがある。 ○シーザー・アルバレス(CESAR ALVAREZ) コナーズ・リサーチLLCのリサーチディレクター。カリフォルニア大学バークレー校で電気工学とコンピューターサイエンスで学士号、コンピューターサイエンスで修士号を習得。マイクロソフトのエクセルの開発に従事したのち、株式市場のマーケットリサーチやトレーディングスシステムの開発に携わる。 第1章 はじめに  1987年の夏の終わりごろ、私はブローカーを辞め、フルタイムでトレードをしようと決意した。だがその目標は、いばら道を進むようなものだった。フルタイムトレーダーになった人どころか、なってみようと挑戦した人すら知らなかったからだ。それだけではない。その目標を達成する道を示す書籍や教えてくれるところもなかったのだ。  自己資金は問題ではなかった。1982年、ダウ平均株価が800ドルだったころに、私は幸運にもメリルリンチに就職できたからだ。そして市場が300%上昇した5年後には、数年前まで一緒に大学に通っていた仲間たちの3〜5倍の年俸を稼げるような恵まれた環境に身を置いていた。  では何が問題だったのか。それは、トレードの手法を説いた信用に足りる情報がほとんどなかったことだった! 1987年当時の一流トレーダーは、自分たちのトレード内容やその手の内などは明かしてはいなかったのだ。  それから7年後の1994年、私はフルタイムトレーダーになるという目標をついに達成し、ドナルドソン・ラフキン・アンド・ジェンレットを退社した(メリルリンチが大学の学士課程なら、ドナルドソン・ラフキン・アンド・ジェンレットは修士課程のようなものだった)。1994年4月4日の月曜日、私は朝5時きっかりに起床し、カリフォルニア州マリブから太平洋を見渡した。プロトレーダーとしての初日が幕を開けたのだ。  200年以上も昔、イギリスの文学者サミュエル・ジョンソンはこう言った「2週間後に処刑を控えた人間は、見事なまでに精神を集中させることができる」。それは、まさに1994年当時の私を表す言葉だった。それまでの10年間、年俸数十万ドルという高給を毎年のように稼いできたのに、これからは好成績を収めなければ収入がゼロになる。そんな状況に私は立たされていた。それはまさに処刑を控えた人間が直面する恐怖そのものだった。白いワイシャツに青いネクタイを締めて一生を過ごすなんてまっぴらごめんだったし、2人の幼い娘を含め養う家族もいたのでなおさらだった。  話を現在に戻そう。世の中は大きな変化を遂げた。好ましい変化もあれば、あまり好ましくない変化もあった。  トレード手法に関する情報が増えたのはいいことだ。際限がないと感じるときすらある。じっくりと時間をかけてトレード手法を学ぶのが嫌な人は、テレビを見ればいつでもすぐに、お薦め銘柄を仕入れることができる。フォーチュン誌に掲載されたある記事によると、CNBCテレビの番組には、少なくとも100人もの人が毎日登場し、買い銘柄について語っているらしい。フォックステレビのビジネス番組などをはじめ、インターネット、雑誌、テレビ、ラジオなどのもろもろの媒体があることを考えると、大きく動いている銘柄の情報は簡単に耳に入ってくると言えるだろう。  もうひとつの好ましい変化は、トレード戦略を数値で示す技術が発達したことだ。私がトレード手法を独学で学んでいたころは、手書きで数値化の作業をしたものだ。今でも手元には、仕掛けと手仕舞いの価格やトレードの結果を集計しては、自らノート書き込んで検証した当時の記録が何冊も残っている。昔は何日もかかった検証作業が、今では数分で終わってしまう。わが社の研究責任者は、1990年代にマイクロソフトのエクセルを開発した技術者のひとりだ。おかげで、私の研究過程は以前よりも簡素化して効率も上がった。  逆に好ましくない変化を挙げると、1990年代にあった数多くのエッジ(優位性)というものが消えてしまったことがある。市場は以前と比べて効率化した。1995年当時は、テレビでブルームバーグの番組を辛抱強く見ていれば、ダウ・ジョーンズよりも2〜3分早く重大ニュースをつかんでしまう、という荒技が日に一度や二度はできたものだ。当時、ほとんどの機関投資家がダウ・ジョーンズのニュースに頼っていたので、ブルームバーグで仕入れたニュースを見てすぐにトレードを仕掛ければ、数分後には利益を手にすることができたのだ。なかなかうまい話だろう。だが、そんな都合の良いことはもうできない。  別の手段ならある。当時多くの有能なトレーダーが使っていた手法を拝借するのだ。有力株、特に配当金が上昇しているようなREIT(不動産投資信託)の一覧表を作り、個人投資家がその持ち株を投げるのを待つ。腕の良いトレーダーならば、5%〜10%安くなったその銘柄を一瞬でつかめるだろう。そこに大量の買いが入る。つまり、買いが入る直前に仕掛けて、その買い気配値のすぐ下に損切りのストップを置くだけだ。機関投資家はこういった駆け引きに悩まされたものだが、機転が利く個人投資家にとっては、ATM機のようにお金をはき出してくれる儲かる手法だった。  このような数ある戦略を、読者の皆さんに伝授するのはかまわない。だが、昔に儲かった手法が今も儲かるとは限らない。そこで本書では、昔も儲って、今も変わらず儲かっている手法を伝授したい。将来にわたり好成績を保証するものではないが、しばらくはこれらの手法で儲け続けていけることを期待しよう。  本書では、私が20年以上かけて培った研究成果やトレード知識を伝授していく。幸いにも、私は素晴らしいトレーダーと知り合う機会に恵まれてきた。彼らの思考は何らかの形で私の思考と重なる部分がある。フィデリティ・キャピタル・マーケットのトレーディングデスクを7年間切り盛りし、トレーディングマーケッツを私と共同で設立したケビン・ハガティー氏のような、偉大な人々から学べることはとても貴重な経験だ。また、『新マーケットの魔術師』(パンローリング)で紹介され、『魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門』(パンローリング)を私と共同執筆したリンダ・ブラッドフォード・ラシュキ氏は、私が知り得る最高のS&Pトレーダーである。売るか買うかをコイン投げで決めても、そのポジションで利益を出すことができる数少ない人物だ。たぐいまれなるトレード技術の持ち主である。もうひとりは、同じくマーケットの魔術師で私の親友でもあるオプショントレードの専門家であるトニー・サリバ氏である。サリバ氏率いるトレーダーたちは、世界で最も成功しているオプショントレーダーの集団だ。多くのオプショントレーダーがほんの数年だけ成功しては消えていくなか、サリバ氏率いる集団は、実に30年以上もの間、成功し続けている。  このような成功者に共通しているのは、有利な状況でトレードをする方法を心得ているということだ。それぞれが機関投資家として、あるいはトレーディングフロアで経験を積んでいるので、売りには買いで、買いには売るのが、市場で常に利益を得る最善策であることを心得ている。本書で紹介する統計や戦略も、この事実を証明している。  私はほかにも、素晴らしい業績を残している多くのトレーダーから学ぶ機会に恵まれた。私の書籍やトレーディングマーケッツのホームページを見たトレーダーがわれわれの研究を取り入れ、そこに彼ら独自の手法を当てはめて、さらに進化させていくのを、これまでに何度も目の当たりにしてきた。こういったトレーダーの多くが独立してトレーディング会社や資産運用会社を設立している。彼らは自らの夢を追い求め、その能力と何よりもその不屈の精神力ゆえに成功したのだ。  人がトレードをする理由は千差万別だ。当然のことながら、利益を得るという目標がその大きな部分を占めている。しかし、それ以上の理由もあるに違いない。  トレードを、世界で最も複雑かつ面白い勝負を究めようとする果てしなき挑戦と考える人は多いだろう。この勝負には一定のルールがあるものの、駒は常に動いている。毎日が新しい機会と挑戦の連続で、時間がたつほどにその規模は飛躍的に大きくなっていく。それは流動性の高い市場が増えて、新たに多くのトレード手段が登場するためだ。1970年代後半に私が大学でトレードを始めたころは、株とわずかな種類の商品先物の銘柄くらいしか存在していなかった。その数年後、私がメリルリンチに就職し、ダウが800ドルで取引されていたときも、指数先物取引は存在していなかった。今や市場は国際化し、取引所も政府管轄から株式公開された企業へと移行して、ハイテクと新商品開発による成長を掲げる事業体へと成り代わった。これは最高の資本主義であり、われわれはその恩恵を授かって、日々進化し続けるトレードという勝負に挑む機会を与えられている。  本書は、市場哲学や市場心理、および市場戦略を交えた内容で展開していく。さまざまな市場を網羅しながら、アメリカ国内だけではなく海外の国でも通用する内容となっている。私のトレード哲学は「平均値への回帰」である。その意味は単純に、行きすぎたものは必ず引き戻される、ということだ。これは私の思いつきではない。何十年も前から言われ続けてきたことである。だが、私はそれを数値で示そうと試みてきた。トレードルールを人に教える場合、「大丈夫、うまくいくから」と口で言うのと、そのトレードルールを統計に基づく証拠で裏付けして示すのとでは、まったく重みが異なる。  私は、自書の『ハウ・マーケット・リアリー・ワーク(How Markets Really Work)』のなかで、市場の短期の動きを大量に数値化して示した。銘柄を買うなら、3日連続で上昇したあとよりも、3日連続で下落したあとのほうが良い結果になることを示した。短期トレードの場合、高値で買ってより高値で売るよりも、安値で買って高値で売るほうが有利であることを、毎章のように統計で示していった。今回も同じように統計を使って、さらに深く掘り下げていく。本書は統計を示すだけのものではない。統計を利用して儲かる方法を生み出すのが目的だ。2003年、『ハウ・マーケット・リアリー・ワーク』のなかで、私は読者にこんな質問を投げかけた野球の世界では判断材料として統計が積極的に利用されているのに、ウォール街ではうわさばかりが当てにされているのはなぜなのか? オークランド・アスレチックスのゼネラルマネジャーであるビリー・ビーン氏は、統計を利用しながら限られた予算内で上手に球団を運営しているのに、金融市場アナリストたちは、人の意見なんぞに耳を傾けて文字どおり何兆ドルものお金を動かしているのはなぜなのか? あの本を執筆後、4年の間に、統計を判断材料にしてきた2球団が三度もワールドシリーズで優勝した(レッドソックスが二度、カージナルスが一度)。どちらの球団も、適切な統計を頼りに方向性を決め、統計を適切に応用したのである。本書では、読者の皆さんにも同じことに挑戦していただく。統計を見ながらそれを応用する方法を、私が本書で伝授しよう。  本書は次のように構成されている。まずは、市場特有の動きを探る。大手マスコミというものは、市場特有の動きを理解しようとすらしない。一見、当たり前で疑う余地のないことでも、トレードの世界では誤りとなることが大いににあるということを理解しよう。そして市場での押しや戻りを見極め、どうしてそれが儲けどきなのかを見ていく。日足と日中足を見ながら、2期間RSI(相対力指数)のオシレーターだけで、下落時のトレード方法とタイミングについて学んでいこう。  その後は、戦略の話へと移っていく。本書で学ぶ戦略は、すべて10年以上の研究によって裏付けされている。それぞれの戦略のルールと、その戦略の結果を読者の皆さんに紹介する。株取引の戦略とS&Pのタイミング戦略も、すべて数値でその根拠を示す。日足を使った戦略を探している読者の皆さんにとって、本書はうってつけの手引書となるだろう。また、独自の研究でさらにこの概念を深く掘り下げてみたいと願う読者にとっても、役立つ貴重な情報があふれていることだろう。  その次に、手仕舞いについて細かく見ていく。トレードは仕掛けておしまいではない。適切に仕切れば、仕掛け時のエッジを最大限に引き出すことができる。そこで、いくつかの出口戦略と、その戦略の有効性を証明する統計を見ていく。  最後に、トレードで成功するために最も重要であると言っても過言ではない、トレード心理について語る。ほかの多くの書籍ですでに語られたようなことに触れるだけではなく、もっと深く掘り下げて考える。これからのトレード人生で常に直面するであろう、現実に起こりうる状況について議論するのだ。そして、私が数年前に自ら行った、アメリカ海軍特殊部隊(シールズ)に10年務めた退役軍人とのインタビューを紹介する。より優れたトレーダーになる方法だけでなく、人生のすべてにおいてより優れた行動を取る方法を、このインタビューから学んでいただきたい。  読者の皆さんが、本書から多くを学び得ることを期待している。それでは始めるとしよう。

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