〔電子〕龍になった女ー北条政子の真実ー

源頼朝亡きあと、北条家の中心となって鎌倉幕府の実権を握ったが故に“尼将軍”と呼ばれ、日本史上稀代の悪女と評される北条政子。しかし、その実像は、出会ったときは流人だった頼朝を心から愛し駆け落ちまでして添い遂げ、頼朝が天下統一を果たしたときは自分を捨て陰から支え、夫ばかりか四人の実子にもすべて先立たれるという悲劇を乗り越え、そして、頼朝の遺志を守らんがため心ならずも“龍”になることを余儀なくされた、運命に翻弄された心優しい女だった……。 後世の人々が創りあげた虚像が語られる事の多い北条政子を、二度の芥川賞候補となった著者が膨大な史実をひも解き、限りなく真実に近い政子の姿を描かんとした意欲作。ＮＨＫ大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の時代を完全にカバーした歴史書としてだけではなく、家族を、夫婦を、そして一人の女を描いた作品として、日本史に興味のない読者にも是非読んでもらいたい一冊である。