〔電子〕凜として灯る

荒井裕樹

2023年8月10日

(株)現代書館

1,980円(税込)

人文・思想・社会

その人は『モナ・リザ』にスプレーを噴射した。理由を知るには人生を語る覚悟がいる。 1974年4月20日、東京国立博物館で開催された『モナ・リザ展』一般公開初日。「人類の至宝」と称されるこの絵画に、一人の女性が赤いスプレー塗料を噴射した。女性の名前は米津知子。当時25歳。「女性解放」を掲げたウーマン・リブの運動家だった。なぜ、彼女はこのような行動に及んだのか。女として、障害者として、差別の被害と加害の狭間を彷徨いながら、その苦しみを「わたしごと」として生きるひとりの、輝きの足跡。 【目次】 プロローグ 一章 恩情と締め出しーー『モナ・リザ展』と障害者 二章 道徳律の思春期ーー補装具とストッキング 三章 バリケードの青春ーー大学闘争と美共闘 四章 女たちの叛乱ーーウーマン・リブの誕生 五章 草原の裸体ーーリブ合宿開催 六章 拠点の旗揚げーーリブ新宿センター開設 七章 産むか産まぬかは女が決めるーー優生保護法改悪阻止闘争 八章 女への不信ーー怒れる障害者たち 九章 惨めなわたしーー車椅子と歩道橋 一〇章 わたしに罪はないーー裁判闘争 エピローグ 引用資料・参考資料 謝辞ーー「あとがき」にかえて 【著者】 荒井裕樹 1980年、東京都生まれ。専門は障害者文化論、日本近現代文学。博士(文学)。二松学舎大学文学部准教授。著書に『隔離の文学ーーハンセン病療養所の自己表現史』(書肆アルス)、『生きていく絵ーーアートが人を〈癒す〉とき』(ちくま文庫)、『差別されてる自覚はあるかーー横田弘と青い芝の会「行動綱領」』(現代書館)、『障害者差別を問いなおす』(筑摩書房)、『まとまらない言葉を生きる』(柏書房)などがある。2022年、第15回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」受賞。

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