惜櫟荘だより

佐伯泰英

2012年6月30日

岩波書店

1,650円(税込)

科学・技術

熱海に仕事場を構える著者は、縁あって惜櫟荘を譲り受け、後世に残すため完全修復を志す。一九四一年、岩波茂雄が静養のために建てたこの別荘は、江戸の粋を知る建築家・吉田五十八の感性と、信州人・岩波の海への憧憬から生まれた「名建築」だった。設計図もない中、パズルを解くような解体・修復工事が始まり、やがて、「五十八マジック」ともいうべき独創的な仕掛けが、次つぎ明らかにー。「名建築」はいかにして蘇ったのか?秘められた趣向とは?若き日のスペインでの思い出や、惜檪荘が結ぶ縁で出会った人々など、興味深いエピソードも交え、修復完成までをつぶさに綴る。好評の『図書』連載に加筆、写真も加えた、著者初のエッセイ集。

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ケムケム

佐伯ファンにとっても建築マニアにとっても必読書

starstarstarstar 4.0 2022年12月03日

 古本屋で見かけたこの本。    佐伯泰英氏の本は今までに「鎌倉河岸捕物控」や「古着屋惣兵衛影始末」などのシリーズを読んだ。いずれも、時代小説だ。  そんな著者のエッセイ集に興味を惹かれ購入。そして初めて「惜櫟荘(せきれきそう)」の存在を知った。  「惜櫟荘」は、岩波書店の創業者、岩波茂雄の別荘で、建築家・吉田五十八によって戦時中に建てられた。数寄屋の名建築だった惜櫟荘も老朽化し、取り壊すことになったのを、佐伯氏が私財を投じて解体復元したのだ。  そのプロセスが綴られているのだが、この本の魅力はそれだけでない。著者がまだ若くカメラマンをしていた時のスペインでの話や、闘病の話、児玉清氏との交流の話などが差し込まれていて、時代小説家としてしか知らなかった著者の人となりがわかり興味深かった。  佐伯ファンとして読んで面白かった本だったが、建築に興味のある人にも堪らない一冊だろう。

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