七人の使者/神を見た犬/他十三篇
他十三篇
岩波文庫
ディーノ・ブッツァーティ / 脇功
2013年5月31日
岩波書店
924円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
不条理な世界の罠にからめとられた人間の不安と苦悩、人生という時の流れの残酷さ、死や破滅への憧憬などを、象徴的・寓意的な手法で描いた十五の短篇。ディーノ・ブッツァーティ(一九〇六ー七二)によるイタリア幻想文学の精華。ストレーガ賞受賞作『六十物語』から精選。
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あめさと
(無題)
ホラーではないのに、じわじわとした怖さがある。基本的に現代イタリアを舞台とした話が多く、特に入院した男が病状以外の理由でどんどん重症度の高い患者がいる下層階へと追いやられていく「七階」がよい。わんこの視線におびえて村人が品行方正になっていく表題作「神を見た犬」も面白い。こちらはオチも秀逸で、思わずにやりとしましたね。一編一編が短いため、細切れ時間に読めるのも自分にはちょうどよかった。初読みの作家だが、他にも読んでみたいと思った。でも次回は長編の『タタール人の砂漠』かな。
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