
世界共和国へ
資本=ネーション=国家を超えて
岩波新書 新赤版1001
柄谷 行人
2006年4月20日
岩波書店
1,034円(税込)
人文・思想・社会 / 新書
序 資本=ネーション=国家について 1 理念と想像力なき時代 2 一九世紀から見た現在 第1部 交換様式 1 「生産」から「交換」へ 2 「交換」の今日的意味 3 五つの社会構成体 第2部 世界帝国 1章 共同体と国家 1 未開社会と戦争 2 国家の誕生 3 アジアの専制国家とギリシア・ローマ 4 封建制と自由都市 5 亜周辺のゆくえ 2章 貨幣と市場 1 商品交換とは何か 2 未開社会と原始社会 3 貨幣の起源 4 商人資本と金貸し資本 5 国家・貨幣・交易 3章 普遍宗教 1 普遍宗教と預言者 2 自由の相互性をめざして 第3部 世界経済 1章 国 家 1 世界帝国から世界経済へ 2 絶対主義国家の誕生 3 国家と暴力 4 官僚支配と福祉国家 5 国家の自立性 2章 産業資本主義 1 マニュファクチュアの時代へ 2 生産=消費するプロレタリア 3 技術革新による存続 4 自己再生的システム 5 資本の限界 6 資本への対抗 3章 ネーション 1 ネーションの誕生 2 共同体の想像的回復 3 想像力としてのネーション 4 美学と想像力 5 ボロメオの環 4章 アソシエーショニズム 1 カントの構想 2 プルードンの構想 3 軽視された国家 4 アソシエーショニズムのために 第4部 世界共和国 1 主権国家と帝国主義 2 「帝国」と広域国家 3 マルチチュードの限界 4 世界共和国へ あとがき
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(無題)
どのような文脈の中から「世界共和国へ」との壮大で突拍子もない結論が導き出されたのか、興味を持って読み始めた。初めはポスト資本主義について書かれたものかとも思ったが、そうでもなさそうである。何しろこの人の著作、初めて読むし、経歴や実績を知ったうえで読み始めたものでもなかった。そこで、調べてみると、著者は構造主義の哲学者で、マルクスとカントに影響を受けているようだ。なるほど、マルクス主義者であれば資本主義の分析はお手の物だろう。そして「世界共和国」はカントが提唱ことが本書中で明かされている。 さて、著者の哲学者としての問題意識は、人類が解決しなければならない喫緊の課題に直面している事である。すなわち、それは戦争と環境破壊、そして経済格差に収斂される。しかも、これらは切り離す事は出来ない。なぜなら、これらの問題は人間と自然との関係や人間と人間との関係が集約されているからだ。そして、これらは結局は国家と資本の問題に帰着すると著者は考える。つまり国家と資本は統御する必要があり、それには「世界共和国構想」が必然だというのだ。 そのための道筋として本書では、国連の強化・再編成が提案される。具体的には、我が国が憲法9条でうたう戦争放棄である。各国が軍事的主権を徐々に国連に譲渡していくのである。そうする事によって、グローバルな非国家組織やネットワークへの国家による分断を阻止するのである。世界共和国について、本書が言及しているのは、残念ながらここまでである。著者の問題意識の持ち方や世界共和国構想などは、学者の素朴な良心を感じられて好ましいところだ。 一方、著述の大部分を占めるのは、著者が「世界共和国」構想を得るに至った過去の哲学史分析である。その辺りはいかにも哲学者らしく難解である。学者の本領発揮といえば、聞こえが良いが、普通の読者にとっては、自分のいる場所を見失う事になりかねない。新書なんだから、もっと分かりやすく書いてもらいたいものだ。
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