物語のおわり

湊かなえ

2014年10月7日

朝日新聞出版

1,540円(税込)

小説・エッセイ

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(無題)

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3.3 2020年09月12日

終わりのない物語はありえない。終わりがなかったとしたら、物語として成立しないからだ。湊かなえはそんな常識に敢えて挑戦しようと考えて本作の執筆を開始したようだ。終わりのない物語がモチーフとなっているのだ。 人の一生は物語には例えられる。物語と比して遜色のないほど、いや時としてはそれ以上に波乱に富んでいるのが人生だ。物語の結末は作者によって描き込まれる。それに対して人生の先行きは、本人の意思によって、いかようにも変化する。 本書は短編連作である。各編の主人公は次のような人たちである。妊娠三ヶ月で癌が発覚した智子、 父親の死を機にプロカメラマンになる夢をあきらめようとする拓真、 志望した会社に内定が決まったが自信の持てない綾子、 娘のアメリカ行きを反対する水木、 仕事一筋に証券会社で働いてきたあかねである。彼らに共通するのは人生の岐路にある事と、北海道へのひとり旅の途上にある事だ。さらにもう一つ、旅の途中で「空の彼方」という結末の書かれていない小説を手渡される事であった。おわりのない物語の原稿を受け取った旅人たちは、その内容を今の自分に照らし合わせながら、一歩を踏み出す小説である。

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