嘆きの美女

朝日文庫

柚木麻子

2014年6月30日

朝日新聞出版

594円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

ほぼ引きこもり、外見だけでなく性格も「ブス」、ネットに悪口ばかり書き連ねる耶居子。あるとき美人ばかりがブログを公開している「嘆きの美女」というHPに出会い、ある出来事をきっかけに彼女たちと同居するハメに。全女性に送る成長小説。

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Readeeユーザー

(無題)

-- 2018年01月21日

マイフェアレディの柚木麻子版でしょうかね。現代のイライザはデブでブスで引きこもりです。ジャンクフード片手に漫画を読みふける耶居子が着ているジャージはいつ洗濯したのか知れません。唯一の生きがいが、サイト荒らしです。そんな耶居子が次第にリア充となっていくストーリーには、ワクワクします。本書にはヒギンズ教授は登場しません。その役割を果たすのが美女4人。美女なるが故に抱える悩みを癒し合うサイト「嘆きの美女」の構成メンバーです。 マイフェアレディの結末はどうだったでしたかね。イライザがレディになってやがてヒギンズ教授と結ばれるかと思いきや、等身大で愛しあえる貧しい青年との苦労の多い道を選んだのでしたね。 この物語でも、耶居子が美女4人と暮らす中で自分の僻み根性に気がついて、素直に感謝できる心の豊かな大人の女へと成長していくのかと思いきや、驚くような転機が訪れます。美女の館の女主人・ユリエが心の奥深くに潜む陰の部分を剥き出しにして、醜く変身してしまったのです。ユリエは他人を醜く罵ったり、食事もとらずに引きこもったり、ビックリするようなセクシーなサイトを立ち上げたりと、それまでの彼女からは想像できない行動に出ます。しかし、これは一種のカタルシスだったのですね。その後、彼女本来の才能を開花させていくのですから。その間耶居子はどうしていたかというと、「嘆きの美女」サイト荒らしの犯人であることがバレて、美女の館を去らざるを得なくなります。そしてしばらく行方不明になるのですが、ハッピーエンドとなります。もと花売り娘のイライザが、貧しい青年と花屋を開くマイフェアレディのエンディングを想像するような結末です。 ところで、著者の年齢をあらためて調べたところ、まだ34歳だったんですね。どうりで、本書には女子トークを始め現代女性の生態や感性が実に自然に描かれています。それを楽しむのも、本書の楽しみ方の一つです。

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