
ナモナキラクエン
角川文庫
小路 幸也
2014年5月24日
KADOKAWA
616円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
「楽園の話を、聞いてくれないか」そう言って、父さんは死んでしまった。残された僕たち、山(サン)、紫(ユカリ)、水(スイ)、明(メイ)は、それぞれ母親が違う兄妹弟。父さんの言う「楽園」の謎とは・・・・。
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【楽園の話を、聞いてくれないか】
【楽園の話を、聞いてくれないか】 そういった父さんは笑みを浮かべ、その続きを言う前に、そのままゆっくりと崩れ落ちるように、台所の古びた床に倒れた。五十六歳だった。あっけないほど、あっさりと。父さんは死んでしまった。 良く言えば自由な人。 悪く言えば勝手な人。 僕の名前は山(サン)、四人兄妹弟の長男だ。山紫水明、それが僕らの名前だ。山(サン)、紫(ユカリ)、水(スイ)、明(メイ)。 僕らの母親はこの家にいない。僕は四人とも異母兄弟だ。母親が全部違う。幸いなのかどうかそれは愛人とかそういうのではなくて、全部正妻のコドモ。つまり四度も結婚して離婚している。それでも兄弟は仲良くお互いを思いあって暮らしている。 父さんがつくりたかった楽園。 それはいったい何なのか。いなくなった母親に会いにいけるように、父さんは遺言を残してくれていた。会いに行ってもいいし、いかなくてもいい。自分たちで決めていいと。【名もなき楽園】の秘密を探して、僕たち一夏の旅が始まった。 自分たちの知らなかった父さん、自由人だった父さん、知れば知るほど、ああ、父さんだな、と思えた。 色々な事情があって、望まれなかった子供たちに幸せを与える。幸せな家庭というものを、ずっとそこで大きくなって、出て行ってからもいつでも戻ってこられる楽園。父さんが望んだ楽園。それは優しくてあたたかくて、涙が出るほどふんわりした居心地がいい場所だった。 文章の隅々から感じられる溢れんばかりの愛情に、笑顔になり優しい涙が出る、そんな家族の物語です。
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