悪名残すとも(1)

吉川永青

2015年12月22日

KADOKAWA

2,090円(税込)

小説・エッセイ

天文九年(一五四〇年)の師走。毛利元就の居城、安芸国(現広島県)の郡山城に尼子軍が攻め寄せようとした時、一万の援軍が現れた。まだ二十歳の美しき軍師の名は、陶隆房(すえたかふさ)。毛利氏を従える大内義隆の重臣にして、援軍の大将を務める男だった。見事な戦略により尼子軍を打ち破った隆房は、毛利元就の戦友として、親交を深めていく。だが、隆房の敵は、外部だけではなかった。翌年、出雲に侵攻した隆房の軍は、内部の統制も取れずに敗走を余儀なくされる。大内氏内部での文治派の台頭、主君・義隆の戦離れにより、武断派の隆房は追い詰められることに。さらに義隆の文化への傾倒と浪費は、天役(臨時徴税)を連発することになり、領民を苦しめていくのだった。迫り来る隣国の侵攻、疲弊する大内氏を立て直すため、隆房はついに決断を下す。

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