幻坂(1)
角川文庫
有栖川 有栖
2016年1月23日
KADOKAWA
704円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
雨の坂道で出会い、恋におちるも、自意識のために、愛する女を死に追いやってしまった作家の苦悩が哀切な「愛染坂」。坂に棲みついている猫たちの写真を撮るために訪れた女子高生が、その夜から金縛りと奇妙な悪夢に悩まされる「口縄坂」。大坂で頓死した松尾芭蕉の最期を怪談に昇華した「枯野」など9篇を収録。大阪の町にある「天王寺七坂」を舞台に、その地の歴史とさまざまな人間模様を艶のある筆致で描く。
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7つの坂の色んな話
大坂にある7つの坂。清水坂、藍染坂、源聖寺坂、口縄坂、真言坂、天神坂、逢坂。大坂は南北に細長い基本的にのっぺりした平坦な地やけど、たまーに坂もある。7つの坂にまつわるお話の短編集。 私も出身は大坂のキタ、でもどっちかってっゆうと京都寄り、大阪弁と京都弁が入り混じった地域。京都寄りやけど山にいかん限り坂があったイメージがほぼほぼないんですよ。なので兵庫に越してきて、坂のキツいとこ多いなぁ、ほんにうまいこと坂のとこに家建てはるわぁと関心した覚えがございます。 坂には色んな人の色んな想いが詰まってる場所。毎日登ったり降りたりの日常。坂がメインで題名にあるように幻がつきもので、つまりは霊にまつわるお話です。自分の想い人やったり、成仏できん霊やったり、そこは色々ですね。 「藍染さんパラパラ」そういう言葉が出てきて可愛いなぁと思った。パラパラゆうんは、雨がパラパラやとかゆうんやけど、つまりは雨がちょっと降ってる(小雨)って意味。藍染さんパラパラは、藍染坂で想うてる男女が雨にパラパラ降られたら、両方の想いが叶うってゆう、なんとも可愛らしい伝承。藍染さんパラパラ、響きが可愛いなぁ。〜さん、ってつけるんも大坂っぽい。太閤さんとか。けっこうなんでも〜さんってつける。 作家さんが関西出身、舞台がこっち方面なんが多いのもちょっと嬉しい。 短編集やから、これは好きやなぁ、これはあんまりやなぁ、これはようわからんわぁ、これは怖すぎやわぁ、とかお話によって評価は分かれるけれど、一個でもええ話見つけれたらその本はええ本なんやと思うてます。お気に入りのお話、見つけてくださいね。
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