
神様の裏の顔(1)
角川文庫
藤崎 翔
2016年8月25日
KADOKAWA
748円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
神様のような清廉な教師、坪井誠造が逝去した。その通夜は悲しみで包まれ、誰もが涙したーーと思いきや、年齢も職業も多様な参列者たちが彼を思い返すうち、とんでもない犯罪者であった疑惑が持ち上がり……。
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名作
あなたにとっての恩人は神様か犯罪者か】 無私の精神で理想の教育を求めた、神様のようなひとだった。 清廉潔白な教師、彼は坪井誠造という。 通夜には、大勢の弔問客が詰め掛けた。 遺影を見ながら「坪井先生~」と叫び、号泣する人々。 みなが心から故人を悼んでる、最高の雰囲気の通夜だった。 「カリスマ校長先生」「教育の神様」 そうあがめられていたが、謙虚さは片時も忘れない人だった。 60歳で定年退職した後も、理想の教育を追求する姿勢は変わらなかった。 小学生から高校生まで幅広く支援するNPO法人に参加した。 自分の土地にアパートを建て、家賃を相場より安く設定し、自ら管理をした。 教え子を大事にして。 アパートの店子さんも大事にして。 家族も友人も、近所の人も大事にしていた。 その結果が、今日の通夜の参列者の数と表情に、如実に表れていた。 やはり彼はとてつもなく偉大な人だったのだ。 坪井さんは神様みたいな人だって。 前からずっと思ってた。 それはいい意味でも悪い意味でも。 すべてを見透かしているみたいで。 もしかしたら人が隠している悪の部分、汚い部分もすべて見通しているんじゃないかって。 自分の意志に背く者には、まさに神様みたいに、普通の人間では絶対逃れられないような罰を与えるんじゃないかって。 もちろん根拠なんてなくて、わたしの勘だ。 実際、恐ろしいことされたことなんて一度もないし。 結局、そのまま坪井さんは亡くなってしまったから。 本当にただ神様みたいないい人だったんだなって思ってた。 ほんの一分前までは。。。 通夜の席で交わされる会話。 近くから聞こえてきた声に反応してしまった。 あれ、おかしいな、って。 坪井さんのことでちょっと疑問に思ってたことがあって。 聞いてたら、自分と同じように思ってる人が何人かいて。 みんな坪井さんのこと、すごく好きで、尊敬してたけど。 ん~、やっぱり、変だなって思うことが多くて。 だんだんと、欠けてたピースがハマっていって。 もしかしたら坪井さんが悪いことしてたんじゃないかって。 もしかしたら坪井さんが本当は犯罪者なのかもって。 神様の裏の顔があるのかもって。 坪井さんは神様じゃなかったのかな。 あんなにいい人だったのに。 神様でも普通の人間だったんだもの。 証拠はぜんぜんないの。 でも状況は物語ってる。 てんでバラバラで繋がってなんかない話が、 あっちの話の実は重要な証言だったりして。 その証言が実はほかの話を覆す話だったり。 二転三転するわたしたちの推理。 神様に裏の顔なんてあったのかしら。 ほんとうに。 彼は尊敬される人物か。 はたまた凶悪な犯罪者か。 神様はとうぜんこの話を聞いているよね。 近くでクスクス笑っているかもしれない。 ああ、まったく人間ってバカだよねって。 ねぇ神様。真実ってなんですか?
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しん
(無題)
普通にエンタメとして面白いと思う。通夜の場のみでの話というのも面白い。
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