最後の証人(1)
角川文庫
柚月裕子
2018年6月15日
KADOKAWA
638円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
検事を辞して弁護士に転身した佐方貞人のもとに殺人事件の弁護依頼が舞い込む。ホテルの密室で男女の痴情のもつれが引き起こした刺殺事件。現場の状況証拠などから被告人は有罪が濃厚とされていた。それにもかかわらず、佐方は弁護を引き受けた。「面白くなりそう」だから。佐方は法廷で若手敏腕検事・真生と対峙しながら事件の裏に隠された真相を手繰り寄せていく。やがて7年前に起きたある交通事故との関連が明らかになり…。
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starstarstarstar 4.3 2023年10月18日
star
気前のいい弁護士の紹介から始まるがすぐに小学生の事故死の話になる。これが今回の殺人につながるらしい。でもこれが復讐だとしても殺人は無罪にはならないとしか思えないが、どのように進行するのだろうか?
子供の死に始まりさらなる不幸もあり閉塞感が漂う。もう何が起きてもハッピーエンドにはなり得ない。何とか復讐だけでもとしか思えなくなる。
さらに検察官の昔話も出てくるがこれもさして変わりない親を殺された話。別にここは普通の過去でもいいような気もするが、物語りの全体的な閉塞感は更に増すことに。
裁判の最終日被告の名前が明らかになる。確かに被告に触れずに裁判が進んでいるなとは思っていたが、これは驚いた。その為の夫婦での工作だったのか?そうだとすると最後の証人とは?これは復讐になり得るのか?弁護士は誰の味方なのか?
結末が正解であったかどうかは分からない。冤罪だとしても単純に殺人犯として裁いた方が多くの人が幸せだったかもしれないし、ちょっと正義感に酔いすぎているのかもしれない。でも本来の罪を暴くという意味ではこれが正解か。
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いくつも張り巡らされた仕掛けに唸る
starstarstarstar 4.2 2021年08月08日
star
二つの話が同時進行する中で(ただし、タイムラインは違いますが)主軸にこの話がどう絡むのか、という疑問が徐々に溶け、そして「そういうことか!」と膝を打つ。
尚且つ被害者と容疑者の名は明かされず、読み進めなければ復讐は達成されたのか分からない。
ああ、失敗に終わったのかと思わせてのそういう形での復讐か!と、また唸らされる。
息子を不慮の事故で失った夫婦の悲しみは如何ばかりか。
それが正当に裁かれない無念は如何ばかりか。
容疑者の無実を証明する佐方は被害者の敵ではなく、しかしそれは被害者の味方という意味ではなく、「裁かれるべき罪は裁く」ことを徹底している。
推理小説で泣くことはほとんどない。
だが柚月裕子はそれができる稀有な作家だ。
「慈雨」の時も泣いたが、今回も泣かされた。
それはやはり「動機」に重きを置くからだろう。
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MM.black2
弁護士像
検事を辞め弁護士となった佐方貞人が殺人事件の弁護を行う。罪は真っ当に裁かれるべき、これがこの小説のテーマだと思う。プロローグのシーンに引きずられながら読んでいたが、最後は思わぬ方向に展開。味のある弁護士の弁論に満足です
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