dele(1)
角川文庫
本多 孝好
2018年5月25日
KADOKAWA
792円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
「死後、誰にも見られたくないデータを、その人に代わってデジタルデバイスから削除する」。それが『dele.LIFE』の仕事だ。淡々と依頼をこなす圭司に対し、新入りの祐太郎はどこか疑問を感じていた。詐欺の証拠、謎の写真、隠し金ー。依頼人の秘密のデータを覗いてしまった2人は、思わぬ真相や事件に直面してゆく。死にゆく者が依頼に込めた想い。遺された者の胸に残る記憶。生と死、記録と記憶をめぐる、心震わすミステリ。
本棚に登録&レビュー
みんなの評価(38)
starstarstarstar
読みたい
39
未読
52
読書中
8
既読
200
未指定
166
書店員レビュー(0)書店員レビュー一覧
みんなのレビュー (2)
参考になった順
新しい順
残したいもの
starstarstarstar 4.5 2020年04月08日
star
「死後、誰にも見られたくないデータを、その人に代わってデジタルデバイスから削除する」。それがdele.LIFEの仕事。所長のケイ、新人の祐太郎。ケイは脚が不自由で車椅子だが、器用に操り不自由さを感じさせない。ケイは情報操作担当、祐太郎はそれ以外足を使う雑用担当で、依頼人がちゃんと死亡したのかどうか現場に行き確認するなどだ。
スマホに三日間操作する気配がなければ削除してくれなどの依頼。ケイは死亡確認さえ取れれば削除する内容には興味がなくあっさり削除する。だが、祐太郎にはそれが納得できなかった。
もしさ、その情報の中に死んじゃった理由とか見つけられるんじゃない?もしさ、そこに犯人の手がかりがあったりするんじゃない?もしさ、その中に遺族が見て痛みが和らぐような内容があったら?
ケイは最初は駄目だの一点張りだったが、次第に祐太郎の根気に負け必要のある場合のみ削除する前に内容を確認するようになる。削除依頼のデータの内に隠された依頼人の本当の想いとは。依頼を巡って遭遇する場面はいいものばかりでもないけれど、依頼人の周りの人々は少なくとも救われてることが多いんじゃないかと思う。
自分が死んだとき消したいデータはなんだろう?そこまで残すデータもない気もする。
祐太郎は自分だったらケイと全く逆のことをするよ、「あなたの死後、この世に残したいものを俺に預けてください、俺はそれが世界に残るよう全力で守ります」という。
そっちのほうがいいかな。
残したいもの。自分が確かに生きていたという記憶。誰かの頭の隅でもいいから、私は確かに生きてたよ!ちゃんと存在してたよ!ちゃんと幸せだったよ!って覚えててほしい。我ながらすごい贅沢なお願いだと思う。でも望むことは禁止されてない。私は生きてる。いつか完全に忘れ去られる時がくるかもしれないけれど、でもこの瞬間これまでこれから、確かに存在してるんだ。終わる日その瞬間まで‥自分らしく生きていたい。
このレビューはネタバレ要素を含みます全て見る
いいね0件
登録しました。
close
ログイン
Readeeのメインアカウントで
ログインしてください
Readeeへの新規登録は
アプリからお願いします
- Webからの新規登録はできません。
- Facebook、Twitterでのログイ
ンは準備中で、現在ご利用できませ
ん。
シェア
X
LINE
リンク
楽天ブックスサイト
楽天ブックスアプリ
© Rakuten Group, Inc.
キーワードは1文字以上で検索してください
Readeeユーザー
(無題)
祐太郎とケイは正反対のふたりとして描かれているが、互いを信頼して尊重している良き相棒となっていく。が、進んでいる方向性は最後まで交わらないし、軸も重ならない。とても不思議な関係性だと思った。綺麗にまとめすぎない終わり方が現実的で好き。
全部を表示いいね0件