dele2

角川文庫

本多 孝好

2018年6月15日

KADOKAWA

704円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

『dele.LIFE』は依頼人が死んだときに動き出す。託された秘密のデータを削除するのが、この会社の仕事だ。所長の圭司の指示を受け依頼人の死亡確認をする祐太郎は、この世と繋がる一筋の縁を切るような仕事に、いまだ割り切れないものを感じていた。ある日祐太郎の妹・鈴が通っていた大学病院の元教授から依頼が舞い込む。新薬の治験中に死んだ鈴。その真相に2人は近づくが…記憶と記録をめぐるミステリ、待望の第2弾。

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Readeeユーザー

リスクがあったとしても、どんなに低い可能性だったとしても、、、すがらなかったか???

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4.6 2021年03月23日

dele.LIFEは、依頼人が死んだときに、託された秘密のデータを削除する会社だ。所長のケイの指示を受け、依頼人の死亡確認をするのが、祐太郎の役目。祐太郎は、この世とつながる一筋の縁が切れるその瞬間に、痛みにも似た疼きを覚えることに、まだ変りはなかった。 【人間、そうそうドラマチックには生きられないし、死ねもしない】 【赤の他人の心を揺さぶるようなデータが、今この世界から消えたっていう可能性は限りなく低い】 そう言って、契約者の事を知ろうとする祐太郎をいつも制するケイ。 祐太郎の妹の鈴は、重い病気を治す新薬の医療治験で亡くなった。いつものように契約者のことで首を突っ込んでいたら、妹が亡くなった原因に綱がる情報が偶然にも出てきた。妹が亡くなった理由、死の真相を隠蔽しもみ消した人物、真相を知ろうとしたらひどい手段で家族を壊された過去。本当のことを知りたい。一発でいいからぶち壊したやつを殴りたい。。。 そもそも治験というのは、新薬を開発するうえで重要なものだ。まず健常者に投与して経過を見る。治験のバイトは健康であることのみが条件で、割のいいバイト代なので知っている人も多いだろう。健常者で実験した後、実際にその病状を持った人を二グループに分けて治験する。新薬と、体に影響のないブドウ糖みたいなもの(プラセボ)、どちらかを投与してそれぞれ経過観察する。実際、治験に参加した患者には、新薬を投与しているかしていないかは知らされない。薬を投与している医者自身にも知らされない。第三者機関が患者のIDにプログラムでランダムに新薬を投与する人を決め、最後まで分からないように番号を割り振る。プログラムによって作成された割り付け表は、治験がすべて終了するまで決して明かされないのが常だ。だが、治験の途中で割付を知る必要に迫られることもあり、万が一の事態が起こったときに備えて、エマージェンシーキーというものが作成される。個々の被験者の識別番号にどちらの薬が割り付けられていたか変わるようになっているもので、被験者の数だけ存在するものだ。被験者に重大な健康障害が発生したときに、病院は処置のために投与されているのが実薬かプラゼボかを知る必要がある。しかしそのために割り付け表を明らかにしてしまうと、匿名性が失われ、治験を継続できなくなってしまうのを避けるため、一人一人の被験者について割付を明らかにしたのがエマージェンシーキーだ。タグのようなもので、封筒に入れ封をされていおり、割付会社がエマージェンシーキーを保管しておく。非常事態の時のみ、その被験者の分だけ開封されるシステムだ。 そこまで徹底していても、治験を続けていると新薬を投与されているかされていないかは、医者には患者の容態を見ていると、薬の真偽がわかってしまうことがあるそうだ。治験中、医者は被験者の血液やら尿やらを検査したり心電図を取ったりして、必要なデータを集める。治験中の新薬が効く薬であればあるほど、投与した効果はデータにあらわれてしまうので、当たり前と言えば当たり前の話だ。それを避けるために、治験中のデータ収集を禁止する治験もあるほどです。 だが、祐太郎の妹の場合は違う。妹は治験中のデータを見る限り、新薬を投与された可能性が高いと担当医が言っていた。妹が亡くなったとき、エマージェンシーキーは開封されたはずなのに、投与されたのは新薬ではなくプラセボだったと公表された。 治験の現場では、死者が出ることがある。だから事前に、本人と親に了承を得た場合にだけ、治験に参加できるようになっている。だから治験で患者が死んだとしても医療ミスではないのだ。患者は自らリスクを承知で治験に参加するのだから。 自分の家族が現存の薬では治らない重い病気だったら・・・その新薬が効果があったら・・・すがるだろうか。 たった一筋の光に。 たとえ誰が傷ついたって、家族が救われるなら、それでいいと考えないか? リスクがあったとしても、どんなに低い可能性だったとしても、、、すがらなかったか??? 真相に迫るケイと祐太郎。二人に訪れる結末とは。

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