人間失格
角川文庫
太宰 治
2007年6月23日
KADOKAWA
314円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
「恥の多い生涯を送って来ました。自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです」青森の大地主の息子であり、廃人同様のモルヒネ中毒患者だった大庭葉蔵の手記を借りて、自己の生涯を壮絶な作品に昇華させた太宰文学の代表作品。「いまは自分には、幸福も不幸もありません。ただ、一さいは過ぎて行きます」ほかに、家族の幸福を願いながら、自らの手で崩壊させる苦悩を描いた「桜桃」も収録。
みんなの評価(25)
starstarstar読みたい
37
未読
144
読書中
29
既読
346
未指定
483
書店員レビュー(0)書店員レビュー一覧
みんなのレビュー (4)
動物合格
この感想を書いている私はとても浅い人間であるが、とても人生が幸せで苦しいなどの負の感情をもつことはほとんどないし、嫌なことがあってもすぐに忘れてしまう人間だ。 対して、葉ちゃんは真逆、イケメンで頭も良く、面白い(道化であるが)のに、何もかも不幸に捉えてしまう人間である。 やっぱり世の中は馬鹿なくらいがちょうどいいのかも? そして馬鹿は苦しむ天才の気持ちがわからないけど、頑張ってその天才を可能な限り理解して、助けてあげることで世の中を支えていくことができる。 自分は葉ちゃんとは違う角度で人間失格、だけど動物合格って思いながら生きていこうと思う。 みんなで優しい世界を作ろう。
全部を表示ー部を表示いいね0件
罪と罰
「罪と罰」これがかなり深く残った。 太宰が考え生み出した言葉遊び。 これで、罪の対義語は何か、考えている時、 ふと太宰の脳内に、ドストエフスキー「罪と罰」が 思い浮かぶのだ。 これを読んだ瞬間、「なるほど!」と思った。 深く納得した。 太宰の何が不幸かというと、彼自身の失敗、過ち、罪が、 直接的に彼を地獄へ陥れている事だと私は思う。 作中にもあったが、人に不幸を抗議したとして、 普通なら同情され、その後その同情から親切が生まれるが、 彼の場合、同情されるどころか、罪なわけであるから、 そんな事を訴えるなんて、わがままだと捉えられるのだ。 でも私は、彼がこの世に存在してくれた事を有難く思う。 彼の思考が、実に面白かったからだ。 そして彼は、人を恐れる一方で、裏面的にはともかく、 結果、人に合わせてばかりいるではないか。 時代も時代、生まれた家柄も家柄なのであろう。 私は彼が何度も自殺を試みた事に関しては、 もし仮に彼の家族だったとして、絶対に叱らない。 それは私自身が、幾度となく、 自殺を考えてきたからであるのもそうだが、 ふむ、今考えて、彼のありのままを文章で読んだから、 そう言えるのかもしれないとも思い始めた。 というのも、家族は、許す、許さないは置いといて、 太宰の精神的苦痛を知らないから、ああやって呆れるが、 私たち読者は、彼のおそらく全てであろうものを知ってる。 私は思う。 もし彼がもっと人に相談できる人で、 彼の家族ももっと相談しやすい人だったらどうだろう、と。 人間失格という名作は遺らなかったかもしれないが、 太宰の幸福度は上がったかもしれない。 そんなこんなで、長くはなったが、とにかく人間失格、 数時間であっという間に読んでしまった。
全部を表示ー部を表示いいね0件
close
ログイン
Readeeのメインアカウントで
ログインしてください
Readeeへの新規登録は
アプリからお願いします
- Webからの新規登録はできません。
- Facebook、Twitterでのログイ
ンは準備中で、現在ご利用できませ
ん。
X
LINE
楽天ブックスサイト
楽天ブックスアプリ
Readeeユーザー
作品字体だけでなく、太宰治自身についても掲載されている興味深い資料となる一冊
旧字体で綴られた日本文学を読みやすく新字体に改められた版なので、非常に読みやすい。また古屋氏のマンガを読んでからというのもあるため、ストーリーがすっと入って来やすかった。実際、古屋氏のマンガの展開とその原材となった太宰治の作品とでは内容や結末が異なることを知っていて読んでいたので、どのような展開になるか楽しみながら読めた。 また桜桃、という作品も合わせて掲載されているので、人間失格以外の太宰作品を読めるのも嬉しい。 最後に寄稿されている解説は、実際の太宰治そして作品に対しての解説および太宰自身の年表も掲載されており、これがまた太宰をより知る上で貴重な情報となっている。
全部を表示いいね0件