必要のない人

角川文庫

内館牧子

2000年9月30日

角川書店

419円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

五十五歳の誕生日を迎えて間もなく、野末稔は『毎朝タイムス』の印刷現場セクションから、子会社の『毎朝文化セミナー』へ出向を命じられた。稔は一日も休むことなく、新しい職場に通っていたが、二週間を過ぎた頃から、ひどくみじめな思いに悩むことがふえていた。具体的な原因は何もなかったが、以前のような「俺は必要とされている人間」だという昂揚感がどうしても持てなくなっていたのだ…。(「必要のない人」)恋、性、老い、そして死…。人生の大きな流れのなかで、揺れ、惑う、男と女を描く、著者初の本格短編小説集。

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