青の炎

角川文庫

貴志 祐介 / 角川書店装丁室

2002年10月25日

KADOKAWA

836円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

櫛森秀一は、湘南の高校に通う十七歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との三人暮らし。その平和な家庭の一家団欒を踏みにじる闖入者が現れた。母が十年前、再婚しすぐに別れた男、曾根だった。曾根は秀一の家に居座って傍若無人に振る舞い、母の体のみならず妹にまで手を出そうとしていた。警察も法律も家族の幸せを取り返してはくれないことを知った秀一は決意する。自らの手で曾根を葬り去ることを…。完全犯罪に挑む少年の孤独な戦い。その哀切な心象風景を精妙な筆致で描き上げた、日本ミステリー史に残る感動の名作。

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Readeeユーザー

ひたすら辛かった

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3.6 2021年01月10日

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草野雅宗

巧妙な倒叙推理小説

starstarstarstar 4.0 2019年11月22日

私は普段滅多に推理小説を読まないのだが、 この本は時間があった土日の2日間だけであっという間に 読み終えてしまった。 読んでいると続きが気になって仕方ないからだ。 一般的なミステリーと言えば、事件が起こってそこから 誰が犯人なのかと推理していき、探し当てることに焦点が 置かれるが、この作品はまず犯人が犯行の手口を考察していく 段階から見せていくという倒叙の技法が用いられている。 またストーリーは現実にあってもおかしくないリアリティ溢れるもので、そこがまたのめり込む一つの要因になった。 私が主人公の場合ならと考えてみたが、おそらく手法は 違うにせよ犯罪者に成り果ててしまうのではないかと思う。 とは言え物語の最後、主人公の予想外の結末だけは、 私には絶対に真似できないことだろう。 小説というフィクションの面白さを感じられる名作。

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Readeeユーザー

(無題)

starstarstarstar 4.0 2019年05月21日

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とも

(無題)

-- 2018年01月24日

藤沢市の高級住宅街として知られる鵠沼は、小田急江ノ島線開通後に小田急が最低100坪単位で分譲した住宅地です。それ以前の明治から昭和にかけては文人墨客の別荘地でした。ですからこの地域は、文化的雰囲気と湘南海岸のもつリゾートの二重のイメージで形作られているのですね。そんな鵠沼から由比ヶ浜高校に通学するには、江ノ電を利用するのが便利です。櫛森秀一も雨の日はそうしますが、普段は潮風が気持ち良い海岸沿いの134号線をロードレーサーで疾走します。つまり、おしゃれで大人びた17歳の高校生のイメージが冒頭から綴られるのです。しかし少し読み進めると、湘南海岸のカラッとした雰囲気とは裏腹に完全犯罪の暗い影がちらつくのです。 鵠沼でも今時は敷地100坪以上の家は多くありません。代替わりした時に相続税が納められなかったり、処分された土地は二分割、三分割されて建売住宅として売り出されるからです。秀一が住む家は祖父の所有になるものでした。父親が交通事故で死んでから、美大出の感性豊かな母親と大正生まれの厳格な祖父のと間は決して良好ではありませんでした。むしろ、義父の目の届かない所に逃げ出したくて再婚を急いだのでした。ところが、相手の目先の優しさに目を奪われた再婚は大失敗でした。母の再婚相手、秀一の義父は怠け者で酒乱、しかもギャンブル狂で女癖も悪い男だったのです。母・友子が離婚を勝ち得たのは、鵠沼の家に逃げ込み祖父がまとまった金をこの男に支払ったからだったのです。 それから10年もして現れたのです。忌まわしき曾根隆司。何故か祖父母亡き後の櫛森家に居座り、傍若無人に振舞う曾根。もう夫でもない曾根に毅然とした態度をとれない母・友子でした。実は秀一の妹・遥香は曾根の連れ子だったのです。母はその事を秀一と遥香に知られまいと、曾根の言うなりになっていたのです。秀一の怒りは天をつき、火焔は赤から青へと変化し一層温度を上げたのでした。母と妹を守るために、彼は曾根の殺害を計画し始めるのでした。 神奈川県の名門湘南高校を思わせる由比ヶ浜高校に通う秀才が企む完全犯罪とは、どのようなものなのでしょうか。綿密な計画を立てて、とてつもない緊張感の中で犯行が行われ、その後に心理的葛藤があり、警察が迫って来るというスリリングな展開です。この小説は完全犯罪を追ったミステリーでもありますし、秀一と紀子の織りなす青春小説でもありますし、大人になりきらない少年の純粋であるがゆえの哀しい物語でもあります。大変に読み応えがありました。

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