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(無題)
僕はミステリーを夢中になって読む程のファンではありませんのでよく分かりませんが、密室殺人はミステリー界永遠のテーマのようですね。本作は幾重にも張り巡らされたセキュリティを掻い潜り、オフィスビル内の最上階で介護サービス会社社長が撲殺された事件の謎を追う物語です。このお話の面白さの特徴は、謎解きの主役を担うのが、本職は泥棒の防犯コンサルタントであるところにあります。このコンサルタントは名前を榎本径と言いました。美人弁護士・青砥純子と事件の解決に当たるのですが、この二人、恋仲に発展する予兆もあり目が離せません。 僕的には榎本のピカレスクさと青砥純子との恋愛小説っぽさに期待をかけるのですが、そこは本格的ミステリー作家のこと、あちこちに伏線を張り巡らしたり、謎が深まる調査をしたりと中々核心に迫らないんですね。本当に気を持たせます。先ずは密室の作り方が凝っています。社長室はビルの最上階にあり、窓はこのフロアだけ防弾ガラスの嵌めごろしで外からの侵入は不可能です。ドアの前の廊下には、監視カメラがありエレベーターも12階だけは暗証番号を押さないと止まらない仕組みにしてあり、階段からも鍵がないと入ることはできません。つまりセキュリティによって密室が作り出されているわけです。 この密室の謎を解き明かすのに榎本径と青砥純子は、現場に残された痕跡から推理して謎解きに挑みます。まずは介護サルによるダクトからの侵入を疑います。次は介護用ロボットによる殺害の可能性です。さらには秘書3人による入れ替わりトリックも考え出します。どの方法でも一見疑問が解決したかに見えましたが、その都度新たな問題点が発生し、真相解明には至りません。試行錯誤の結果、やっとトリックが分かったと榎本が叫んだところで第一部がおわります。ここまででゆうに長編小説一冊分はありますね。何しろこの作品は長いんです。 第二部に入ると椎名章の不幸に満ちた人生が延々と語られます。椎名章って誰だって。第一部で窓ガラスの清掃中に遺体を発見者したメンテナンス会社の作業員ですよ。実はこの男が犯人だったんですね。第一部の謎解きとは様変わりして、椎名章が犯行を犯すまでの経緯が細かく語られます。先ずは動機ですが、やはりお金ですね。僕には、強奪され殺された男の哀れさと愚かさが印象に残ります。この男、東証2部に上場しようとする介護会社の社長ですよ。社内では、本社の経費は全てが現場の介護福祉士の汗の賜物だから、1円たりとも無駄があってはならない、と社員に怒鳴り散らしている影で不正蓄財に励んでいるのですから、もう、何をか言わんやです。読み終わってみても、僕にとってどうにも納得いかないのが、この犯人、殺さなければならない必然性があったのか、という点ですね。 この作品の一番の読ませどころは、奇想天外な殺人の方法ですよね。ここを頂点としてガラス細工を組み立てるように物語を構築していってますから、殺人の動機には何かもう一工夫あっても良かったかな、との感想を持ちました。なお、最後の最後で榎本がダイヤをネコババしたのが明かされて、期待が裏切られなくて良かったと思ったものでした。
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