散りしかたみに

角川文庫

近藤 史恵 / 原 魚乃

2001年8月24日

KADOKAWA

594円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

歌舞伎座での公演中、毎日決まった部分で桜の花びらが散る。誰が、何のために、どうやってこの花びらを散らせているのか?女形の瀬川小菊は、探偵の今泉文吾とともに、この小さな謎の調査に乗り出すことになった。一枚の花びらが告発する許されざる恋。そして次第に、歌舞伎界で二十年以上にわたって隠されてきた哀しい真実が明らかにされていくー。歌舞伎座を舞台に繰り広げられる、妖艶な魅力をたたえた本格ミステリ。

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Readeeユーザー

(無題)

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3.9 2018年02月09日

絢爛豪華ではあるが、虚しさを漂わせているのは、それが作り物である事が分かっているからでした。おどろおどろしい妖性は、硝子細工のように壊れ易い美しさと対になってこの世での存在を許させているようでした。著者が歌舞伎の舞台と楽屋を行き来してミステリーを構築する様は、読者をして虚構と現実の世界を縦横に駆け巡りさせる、不思議な雰囲気を持つ作品でありました。歌舞伎の世界にミステリーを持ち込むといった、一見ミスマッチな著者の目論見は、本書において充分に成功しているばかりか、得難い世界を創り出しています。 梨園といえば、何と言っても家柄・血筋ですよね。成田屋(市川団十郎家)、成駒屋(中村歌右衛門家)が大名跡ですね。次いで音羽屋(尾上菊五郎家)でしょうか。歌舞伎ではこの家が芸を継承していきます。ですから、この家に生まれた事は歌舞伎の世界で一生陽の当たる場所を歩む事になります。反面、芸の修業は厳しく、父親は親ではなく師匠なのです。また、どんなに歌舞伎が好きで才能があったとしても、名門の生まれでない役者は一生下積みの大部屋役者の道しか許されません。このミステリーは、家を守ろうと必死の当主とその家に秘密を抱えて生まれた息子の葛藤がまずベースにあります。このテーマ自体が血に基づく理不尽さの中で生きていかなければならない、哀しい物語でありますが、さらに大部屋役者の悲哀が重なってもの悲しさを一層かきたてます。女形の瀬川小菊はそんな大部屋役者のひとりです。小菊は師匠瀬川菊花に名探偵今泉に事件を解決するよう言いつかるのでした。 それでは、本書のミステリーとはどんなものだったのでしょうか。歌舞伎座での公演の最中、毎日決まった場面で必ず桜の花びらが一枚だけ散ります。観客を始め演者も殆どが気付いていませんでした。誰が、どうやって、何のために花びらを降らせているのでしょうか。顔に消えない傷をつけられた市川伊織とその周りに見える美しい、滝夜叉姫と噂される女、虹子を巡り「奥州屋」の隠された事実が明らかになっていきます。

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