とんび
角川文庫
重松 清
2011年10月31日
KADOKAWA
704円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
昭和三十七年、ヤスさんは生涯最高の喜びに包まれていた。愛妻の美佐子さんとのあいだに待望の長男アキラが誕生し、家族三人の幸せを噛みしめる日々。しかしその団らんは、突然の悲劇によって奪われてしまうー。アキラへの愛あまって、時に暴走し時に途方に暮れるヤスさん。我が子の幸せだけをひたむきに願い続けた不器用な父親の姿を通して、いつの世も変わることのない不滅の情を描く。魂ふるえる、父と息子の物語。
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【僕に、恨みを抱かせなかった父を誇りに思う】
【子どもの悲しさを吞み込み、子どもの寂しさを呑み込む、 海になれ】 小さい頃にお母ちゃんは父親を助けて事故で死んだ。気がついたらお父ちゃんと二人家族だった。 親が子どもにしてやらんといけんことは、たった一つしかありゃあせん。子どもに寂しい思いをさせるな。子どもの悲しさを吞み込み、子どもの寂しさを呑み込む、海になれ。 苦労するんが親の仕事。だからそんなこと子どもは気にせんでええ。幸せになりんさい。金持ちにならんでもええ、偉い人にならんでもええ。今日一日が幸せだったと思えるような毎日を送りんさい。明日が来るんを楽しみにできるような生き方をしんさい。親が子どもに思うことは、みな同じ。ただそれだけ。 見届けなければならない。この子が成長していく、その一瞬一瞬を、しっかりと目に焼き付けておかなければならない。この子がどんな風に大きくなって、どんなおとなになったのか。見届けたくても見届けられなかった、あなたにいつか、たくさんたくさん話すために。 親とは。 親とは、割に合わないものだ。 親とは、寂しいものだ。 親とは、哀しいものだ。 親とは、愚かなものだ。 親とは、一生懸命なものだ。 お父ちゃんの背中は温かかった。お父ちゃんが抱いてくれたら、体の前のほうは温くなる。でも背中は寒い。もしお母ちゃんがおったら、背中のほうから抱いてくれる。そしたら背中も寒くない。お父ちゃんもお母ちゃんもいる子は、そうして体も心も温めてもらっている。でも、お前にはお母ちゃんはおらん。背中はずっと寒いまま。お父ちゃんがどんなに一生懸命抱いてくれても、背中までは抱ききれない。その寒さを負うことが、お前にとって生きるということだ。背中が寒いままで生きるんは辛いことよ。寂しいことよ、哀しくて、悔しいことよ。お前にはお母ちゃんがおらん。でも、背中が寒くてかなわんときは、ほかの皆の手でぬくめてやる。ずうっとずうっとそうしてやる。背中が寒くないお前はさみしくない。お前はお母ちゃんがおらん代わりに背中を温めてくれるものがぎょうさんおる。それを忘れるなや。 そう言ってくれた優しい大人たちがいた。 【僕に、恨みを抱かせなかった父を誇りに思う】 親とは。親とは。。。。 親になって、よかった。 【ありがとう】 そのたった五文字に涙がとまらなくなる。我が子の幸せだけをひたむきに願い続けた不器用な父親の姿に、あまりにも深い愛情に。 親とは、、、、答えは親の数だけあるでしょう。その家族の数だけ、その子どもの数だけ、あなたは答えを見つけましたか?
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なみだ
泣けて泣けて仕方がない。 本をよんでこんなに泣いたのは初めてでした。 ヤスさんとアキラの親子の物語。 不器用ながらも一生懸命子どもを育てるヤスさんがたまらなくかっこいい。 子どもは親の背中を見て育つものやね。 自分の中のスジをきちんと通す姿 すぐに照れくさくなって、思ってることと反対のことを言う姿 息子の幸せを本当に願っている姿 「健介のことも、生まれてくる赤ん坊のことも、幸せにしてやるやら思わんでええど。親はそげん偉うない。ちいと早う生まれて、ちいとばかり背負うものが多い、それだけの違いじゃ。子育てで間違えたことはなんぼでもある。悔やんどることを言いだしたらきりがない。ほいでも、アキラはようまっすぐ育ってくれた。おまえが、自分の力で、まっすぐ育ったんじゃ」 いい言葉です。
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うるっとじんわり
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ドラプン
(無題)
不器用な父親だが素直さもあり本当に魅力的に描かれている、周りの登場人物も愛にあふれた人たちで非常に心地よい キャラクターの言葉がずっしり重みがあり心に響く 古臭いというよりかは人として大切な心を感じ取れる
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