クジラの彼
角川文庫
有川 浩
2010年6月30日
KADOKAWA
607円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
『元気ですか?浮上したら漁火がきれいだったので送ります』彼からの2ヶ月ぶりのメールはそれだけだった。聡子が出会った冬原は潜水艦乗り。いつ出かけてしまうか、いつ帰ってくるのかわからない。そんなクジラの彼とのレンアイには、いつも7つの海が横たわる…。表題作はじめ、『空の中』『海の底』の番外編も収録した、男前でかわいい彼女たちの6つの恋。有川浩がおくる制服ラブコメシリーズ第1弾。
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(無題)
恋愛小説をワクワク、ドキドキしながら読む事ができるのは、まだまだ枯れていない証拠であろうか。そう、本書は恋愛小説である。それも恋愛小説が場違いに映りがちな自衛隊が舞台である。自衛隊三部作の番外編といったところか。ディテールの隅々まで丁寧な取材の跡がうかがえる。 先ずは表題作「クジラの彼」。潜水艦乗り冬原と聡子のお話である。潜水艦の乗員を恋人にすると、1番辛いのが長期間会えないことである。それは長距離恋愛の比じゃない。何しろ一旦航海に出れば、ケータイすら滅多に使えないのだから。しかもいつ帰るかは軍事機密で明かす事ができないのである。聡子はただひたすら辛抱強く待つ事を強いられる。それを引け目に感じ、冬原が結婚を切り出せないでいる辺りの2人のやり取りが読んでいてとっても楽しい。 続く「ロールアウト」は飛行機乗りの高科と航空機設計技師の絵里のお話。次期輸送機の開発を巡って、トイレをどうするか、2人の間の議論から愛が芽生える。作中で高科の口を借りて男の生理を語る辺りが鋭い。曰く「男は小便をしている姿を見られても平気だが、大便をしているところを見られるのはとても恥ずかしい」。女の身でどうしてこんなことが分かるのだろうか。 次は「国防レンアイ」。女性陸上自衛官、それもキャリア十分な下士官級になると、希少価値もあってか横暴になるらしい。それを絵に描いたように女王然と振る舞う三池と僕のような伸下のお話。ここでもハッとさせられる場面があった。日頃の厳しい訓練の結果、三池の腹筋が割れていた。ま、当たり前と言えば当たり前であるが、初めてベッドインした彼女の身体にそれを発見したとしたら、男はどう感じるだろうか。 そしてもう1人の潜水艦乗りの夏木と望のお話「有能な彼女」。彼女や彼氏に会いたいという一心で自衛官たちが基地を脱走しようとする「脱柵エレジー」。最後の「ファイターパイロットの君」は女性戦闘機パイロットの光稀と銃後を守る高巳のお話だ。それにしても光稀のキャラクターは強烈だ。初デートは、友人のアドバイスでしっかりと女っぽく決めていたものの、首からはネックレスならぬ認識票をぶら下げていた彼女。高巳が「足がきれいだね」と褒めると「どこ見てやがるエロジジイ!金取るぞ!」。ファーストキスで「舌は予定に入ってないッ!」と宣う君である。
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