日本中世に何が起きたか 都市と宗教と「資本主義」(1)

角川ソフィア文庫

網野 善彦

2017年3月25日

KADOKAWA

968円(税込)

人文・思想・社会 / 文庫

「なぜ、平安末・鎌倉という時代にのみ、すぐれた宗教者が輩出したのか」。高校教諭時代、教え子から問われて以来30年余、通説を覆す数々の研究の過程で見えてきたものとは何か。「無縁」論から「資本主義」論へーー対極に考えられてきた、宗教と経済活動との関わりを解明。中世社会の輪郭を鮮明に描くと共に、国民国家という枠組をも超えてゆくべき、現代歴史学の課題を提言。網野史学の全容を俯瞰できる名著。解説/呉座勇一 【序にかえて】 ○絵師の心 一遍と「乞食非人」   絵師が描けなかったもの/『一遍聖絵』を読む 【1 境界】 ○境界に生きる人びと 聖別から賎視へ   自然と人間との境/境界的な行為としての交易/出挙ーー神物を貸し付ける/芸能と神仏/律令国家とのせめぎ合い/神仏、天皇に直属/聖なるものの「奴隷」/職能集団の形成/勧進が名目の貿易/東国と西国の違い/「資本主義」の源流/神仏の権威の低落/宗教と資本主義 ○中世の商業と金融 「資本主義」の源流   百姓の虚像と実像/米・絹・布も貨幣/信用経済の展開/海辺の百姓/山中・平地の百姓/僧侶・山臥の代官/荘園経営の日常/経営を円滑に行う能力/二十一世紀への課題 ○補論 市の思想 〔対談者・廣末保氏〕   市・辺界・無縁の空間/宗教民・芸能民・商人集団/商人=芸能者の関係/市の思想・公と私の間 【2 聖と賎】 ○中世における聖と賎の関係について   「差別」について/民族差別について/日本は「島国」か/庶民レベルの交流/遊女・傀儡について/穢れと差別/「悲田院」と非人/神の奴婢・仏の奴婢・天皇の奴婢/聖なるものの権威/南北朝の動乱以後の社会/神仏の権威の低落/多様な列島社会で ○中世における悪の意味について   均質でない社会/ある荘園調査での体験/東と西の差異/「日本」を相対化する/「西日本」と部落問題/「悪」について/穢れについて/博打と遊女/悪党と流通・交通路/重商主義と農本主義の対立/地域の実情に即して 【3 音と声】 ○中世の音の世界 鐘・太鼓・音声   「鐘」--日常世界を超えるもの/太鼓合戦/三巴の紋ー呪術的な力/音の聖性がたどる道/天につながる声/聞耳のこと/微音と高声/この世と仏の世をつなぐ声/高声念仏の秘めていた可能性 【4 宗教者】 ○一遍聖絵 過渡期の様相   はじめに/修行・伝道の旅/賦算の条件/未開から文明へのエネルギー/「徳人」の源流/「悪党」たちの支持/「非人」の救済/女性全体の救済/阿弥号を名のる人びと/むすび 【あとがきにかえて】 ○宗教と経済活動の関係   初出一覧   解説 呉座勇一

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