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夜は短し歩けよ乙女
森見 登美彦 / 角川書店装丁室 高柳雅人
2006年11月30日
KADOKAWA
1,650円(税込)
小説・エッセイ
私はなるべく彼女の目にとまるよう心がけてきた。吉田神社で、出町柳駅で、百万遍交差点で、銀閣寺で、哲学の道で、「偶然の」出逢いは頻発した。我ながらあからさまに怪しいのである。そんなにあらゆる街角に、俺が立っているはずがない。「ま、たまたま通りかかったもんだから」という台詞を喉から血が出るほど繰り返す私に、彼女は天真爛漫な笑みをもって応え続けた。「あ!先輩、奇遇ですねえ!」…「黒髪の乙女」に片想いしてしまった「先輩」。二人を待ち受けるのは、奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大転回だった。天然キャラ女子に萌える男子の純情!キュートで奇抜な恋愛小説in京都。
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みんなのレビュー (4)
こんな素敵でオモチロイ青春、恋をしてみたいなぁ、と思いつつ、わたしは「なむなむ!」とつぶやき、いのるのであった。
2007年本屋大賞にノミネートされ、次点にもなった森見登美彦の出世作。世界観、文体、そしてキャラクター。どれをとっても寓話的でちょっと変、そんなところが魅力あふれる作品となっている。それでいて内容も、最高の青春小説であり恋愛小説なのである。 交互に描かれる、私と先輩であり、私と後輩の視点。主人公であるこの二人の名前は最後まで(たぶん)でてこない。それだけに感情移入しやすいし、また二人のキャラがすごくよい。いそうでいないけど、どことなく自分と同じところがあるような、それでいてオツで粋。こんな二人とその関係に見下げはてるほど憧れるねぇ。。 二人の出会いもほんの少しだけ描きつつ不思議な小説世界へといざなう「夜は短し歩けよ乙女」、いっさつの絵本と古本の神さまを巡る夏の暑い我慢大会「深海魚たち」、学園祭実行委員長を震撼させる偏屈王と韋駄天コタツの関係とその目的とは「御都合主義者かく語りき」、そして風邪の流行、衰退とともに大団円を迎える「魔風邪恋風邪」。季節ごとの4つの章立てで構成されている。とくに、3章の「御都合主義者かく語りき」の、偏屈王の挿入劇などの描き方がとてもよく、青春っていいなぁ、なんてありもしなかった青春をなぜか懐かしく思ったりするのである。 セリフもいちいち秀逸で、おもしろい言いまわしがあふれている。「恥を知れ! しかるのち死ね!」なんてセリフは容易に思いつくものではないよ、ホント。愛ある「おともだちパンチ」、プリンセス・ダルマ、偏屈王などなど、世界観がすばらしい。キャラクターもそこはかとなくおかしさあふれる奇人変人ばかり。さらにさらに、森見登美彦の小説は、小説間でリンクしているようで、前述の「新釈 走れメロス 他四篇」に出てきた詭弁論部やパンツ総番長が出てくるのである。そんな遊び心が、おいらの心をつかんで放さないのだ。 こんな素敵でオモチロイ青春、恋をしてみたいなぁ、と思いつつ、わたしは「なむなむ!」とつぶやき、いのるのであった。
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ジロー
レトロユーモラスファンタジー
SNSで知り合った本好きの方のお勧めで読んでみた。 普段読むのは話の筋がわかりやすく面白いものがほとんどなので、この手のファンタジーは新鮮に感じた。 レトロかつ独特の言い回しが特徴的で、ユーモアの質も良い。 この人の他の作品も読んでみたい!とまでは思わなかったけど、それなりに楽しく読めたので、良い経験だったかな。
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