ビブリア古書堂の事件手帖3 〜栞子さんと消えない絆〜
メディアワークス文庫
三上 延
2012年6月23日
KADOKAWA
693円(税込)
小説・エッセイ / ライトノベル / 文庫
鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂は、その佇まいに似合わず様々な客が訪れる。すっかり常連の賑やかなあの人や、困惑するような珍客も。人々は懐かしい本に想いを込める。それらは予期せぬ人と人の絆を表出させることも。美しき女店主は頁をめくるように、古書に秘められたその「言葉」を読みとっていく。彼女と無骨な青年店員が、その妙なる絆を目の当たりにしたとき思うのは?絆はとても近いところにもあるのかもしれないー。これは“古書と絆”の物語。
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(無題)
・たんぽぽ娘 原書を読んでみたい。英語自体がそれ程難しく無さそうな気がするのと、 何となく結末が読めてしまいそうなので、ハードルが低そうな気がします。 ・タヌキとワニと犬が出て来る、絵本みたいなの チェブラーシカの歴史蘊蓄が面白かった。 しのぶさんの妊娠には全然気付かなかったわ。 にしても、古本屋の店員がしのぶさんの実家にまで行ってしまうのは、 現実的では無い、物語の世界だなと思いました。 ・春と修羅 懐かしい地名が出てきて、描写に頷きながら読みました。 古本屋さんがこういうことまで介入するなんて、やはり物語の世界ですが、 面白い謎解きだとは思います。 でも、赤の他人が唯一の家族写真を持っているなんて、、、やはり変。 ・王様の耳はロバの耳 栞子の母親が不気味。 それから、身内でも嫌いな人は嫌いだと思うので、文香のお節介の描写はとても苦手。
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(無題)
何やら思わせぶりなサブタイトルが付いています。栞子さんと彼女の母親との曰く因縁を暗示させますね。栞子さんの母親篠川智恵子は、ミステリアスな存在として、前巻から登場していますが、本巻ではさらに謎が深まります。栞子さんがスレンダーでありながら巨乳、サラサラの長い髪に細面、対人恐怖症を思わせる程の人見知りでありながら、こと古書の事となると、別人のように饒舌となって類稀な推理力を発揮しますが、これがどうやら母親の血を引いている事が暗示されていますね。本巻では、篠川智恵子を悪し様に非難し、その娘であるという理由だけで、栞子さんに憎しみの視線を浴びせるヒトリ書房の店主井上が登場します。しかもこの店主、智恵子さんと今でも交流があり、彼女からのカードには大輔の事が書かれています。この事から井上は、栞子さんは母親と今でも連絡を取り合っているに違いない、と大輔が栞子さんから聞いている話とは全く逆の事を伝えます。しかも大輔が本を読めないという、家族と栞子さん以外が知るべきも無い事がカードには記されていたのです。不信と謎を呼んだ処で第一話が終わります。 それにしても、大輔と栞子さんの古書店主と店員以上恋人未満の間の取り方は、相変わらず微妙に揺れ動きヤキモキさせらます。これが本シリーズの魅力のひとつ何だろうと思いますが、今にも消え入りそうで、傷付きやすい栞子さんを護ろうとする大輔の気持ちは、何と言ったら良いのだろう。母性本能の反対だし、父性本能も変だし、こういうのが一番ピッタリするのは昔から「美女と野獣」というではなかったでしょうか。作者は、二人の関係を、栞子さんの妹文香の日記を借りて侍従とプロローグで言っています。 このシリーズのもう一つの魅力である古書への薀蓄ですが、第1話はロバート・F・ヤングの「たんぽぽ娘」にまつわるお話です。第2話は、常連客である坂口しのぶから、本を探して欲しいという依頼を受けるというお話です。しのぶは、このお話で親子関係の修復をはかります。第3話は、栞子の母親の同級生だという玉岡聡子から、盗まれた宮澤賢治の「春と修羅」(初版本)を探してほしいと、頼まれます。玉岡が警察に届けないのも、盗んだ犯人が兄夫婦であるとわかっているからです。 全体を通じて家族が描かれています。 エピローグで篠川智恵子が大輔を知っていた謎と母から栞子さんへのメッセージ「クラクラ日記」の謎があっさりと明かされます。でも、肝心要の篠川智恵子は幻影のままで、その実態が明かされるのは第四巻以降に持ち越されました。第四巻を読まなくてはならなくなったのかな。
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