「般若心経」を読む

講談社現代新書

紀野 一義

1981年2月18日

講談社

924円(税込)

人文・思想・社会 / 新書

人は時として人生に空しさを感じ、迷い、心の支えを求める。生きる力を、救いを与えてくれる世界はないものか。「般若心経」は、衆生の苦厄を救うために説かれた。この世に存在するすべてのものは、実体がない。ゆえに、迷いも、苦しみも、老いも死もなく、永遠のやすらぎがえられるという。「ぎゃあてい ぎゃあてい……」の呪文は、さとれる人への、それを目指さんとする人への讃歌である。信ずるとは、さとりとは、真実とは、「空」とは、「色」とは、生きるとは……。人が生きてゆくうえでぶつかる様々な悩みを通して、「般若心経」の真髄に迫る。 空しさの中にゆたかさを見るーーたしかにこの世は空しい。人間のすることもあてにはならない。しかし、あてにはならないと思っているからこそ、時として、人間とはなんとすばらしい存在だろうと思えるのではないか。生きていることは確かにあてにならない。人の命はまことにはかないものである。だからこそ、今生きているということが、たとえようもなくすばらしいことだと感じとられるのではないか。そのとき、空しかった空(くう)はもう少しもむなしいものではなく、広大無辺なひろがり、神の胸、仏のふところ、あたたかな永遠の生命の中にぴったりと抱かれていることに気づく。それを「空即是色」というのである。そんなゆたかな、ゆったりとした、途方もない人生が、この世の中にちゃんと実在するのである。それを私たちは、「真実」と呼ぶのである。--本書より ●般若心経讃歌 ●旅する者のお経 ●まず、こころがある ●真実は言葉で説明できない ●「行を行じつつある時に」 ●色即是空の世界 ●人間のすることはあてにならない ●生じも滅しもしない世の中 ●無明とはただ暗いだけなのか ●ぎゃあてい ぎゃあてい

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