
足摺岬
田宮虎彦作品集
講談社文芸文庫
田宮虎彦
1999年9月15日
講談社
1,210円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
死を決意した学生の「私」が四国で巡り合った老巡礼との邂逅、その無償の好意で救われる表題作「足摺岬」、新聞配達少年との心の通い合いと突然の死を伝える「絵本」、敗北する小藩の命運を書く「落城」、初期秀作「霧の中」他。人間の孤独な心に寄りそった、優しい視線の作品世界。
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(無題)
また再読。収録の「絵本」は珠玉の作品。 足摺岬よりも遥かにいい。少し梶井の檸檬にも似ている。 何度読み返したかわからない。 「カリッカリッて音をさして,,.」台詞の謄写版の音が侘しく響く。 少年も大学生も中学生も少年もただあまりにも幸薄く赤貧でうら侘しい。戦争は酷い。 大学生がお別れにアンデルセンの小さな童話を贈り物に少年に手渡すシーンが忘れられない。 「また遊びに来てくださいね」と微かに囁く少年に涙ぐみながら「うん、うん」と頷くしかない私。 時代背景もあるがこの寂寥感は平成人には決してわからない。 昔の青年は心優しかった。 このおそらく余命いくばくもない少年の儚い華奢な指先や澄んだ眼差しが眼に浮かぶようである。 読む度に涙が止まらない。
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